輸入枠新設で攻防 日米交渉 7月から加速

 日米貿易協定交渉で、乳製品などの扱いを巡り両国の攻防が激しくなってきた。環太平洋連携協定(TPP)で輸入枠を設けていることや、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の一部品目はTPPよりも自由化水準が高いことを踏まえ、米国は同様の市場開放を狙う。日本は輸入枠新設を拒否している。7月から事務レベル協議を加速させて個別品目の交渉が具体化する。強硬な要求をはねのけられるか、日本政府の姿勢が問われる。

 同交渉を巡っては、茂木敏充経済再生担当相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が28日、大阪市内で1時間半、会談した。25日には東京都内で事務レベル協議をしている。これらの中でも、米国側は輸入枠の設定を主張してきたとみられる。

 米国が輸入枠にこだわるのは、米国が離脱したTPPで加盟国全体に数量を設ける「ワイド枠」があるからだ。バター・脱脂粉乳やチーズの一部など33品目あり、米国側は「日本が他国に与えた市場開放は、米国にも当然与えるべきだという意識が強い」(日本政府関係者)ためだ。

 ただ、米国向けに新たに枠を設ければ、日本にとっては既存のTPPワイド枠に加えて新たな輸入量が生じ、TPP水準を超えることになる。

 TPPワイド枠は、米国の離脱前に設定され、米国分の数量も反映されたままだ。日本側は現時点ではワイド枠の見直しには否定的なため、米国向けに新たな輸入枠を設けることも認めない姿勢。そうした考え方を交渉の中で伝えているが、米国側は依然として要求を続けているという。

 日米両政府は今後の交渉の進め方として、各分野の担当レベルで協議を重ね、対立する項目だけを事務方の幹部や閣僚級で詰めることを確認している。輸入枠はこう着状態にあるため、閣僚級で協議するテーマになる可能性が高い。

 交渉では、日欧EPAでのソフトチーズなど、TPPよりも自由化水準が高い品目も議論の対象になってきた。輸入枠と併せて、米国側が市場開放を迫ってくる可能性もある。日本政府の毅然(きぜん)とした交渉が求められる。

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