続く大雨 増す不安 九州南部 水蒸気流入 梅雨前線が停滞

河川の氾濫で、広い範囲で浸水した水田(1日、熊本県益城町で)

 活発な梅雨前線の影響で、九州南部では1日も断続的に強い雨に見舞われた。6月29日以降の降雨で河川が氾濫した熊本県では、田植えが終わったばかりの水田が水に漬かる被害が発生。農家は今後の生育への影響を心配しながら、水が引いた水田でごみ拾いなどの対応に追われた。鹿児島県でも同日、積乱雲が次々とでき激しい雨が降った影響で、野菜や果樹のハウスに浸水する被害が出た。
 

水田浸水、流木も 熊本県益城町


 熊本県益城町では河川の氾濫により、水田が広い範囲で浸水した。流木や土砂がたまった水田もあり、農家は田植えを終えたばかりの水稲被害を心配する。地元のJAかみましきによると、被害面積は約100ヘクタールに及ぶという。

 同町飯野地区では木山川などが氾濫し、1日になっても水田の浸水が続いた。地区の農家によると、最大で1メートル以上浸水し水路も一部で壊れた。大きな流木が横たわり、土砂がたまった所は重機を入れないと取り除けない状態だ。

 同日、水が引いた一部の水田では農家が流れてきたごみを取り除いていた。坂本貢さん(70)は「泥が入った所は米の出来に影響が出るのではないか」と心配する。まだ浸水したままの水田も残る。戸田安さん(80)は、管理する1ヘクタール以上の水田がまだ水浸しだ。「田植えが1週間前に終わったばかり。これ以上降らないでほしい」と話す。

 同町は2016年の熊本地震でも住宅や農地に被害が出た。相次ぐ災害に関係者は困惑した表情を見せる。JA益城総合支所の光永徳幸所長は「本格的な被害調査は水が引き次第、始める。浸水が長引けば、タニシなどの被害も出てくる。早く水が引いてほしい」と、農家の心情を代弁する。

 県によると、これまで人的被害はない。住宅の床上床下浸水は宇城市や上天草市などで23棟。大きな農業被害の報告は同日昼まで入っていない。

 1日午前0時までの24時間雨量が273・5ミリと15年の統計開始以降、最多の雨量を記録した熊本県南阿蘇村。村によると、農地の畦畔(けいはん)の崩れや土砂が水路を覆うなどの被害が報告されているという。村は「調査を続け状況をまとめる」(農政課)と話す。

 非常に激しい雨を観測した宇城市。JA熊本うきによると、管内の一部ハウスで浸水被害を確認。ただ、具体的な農産物被害は「時間がたってみないと分からない」。雨が長期化すれば作柄に影響が出る恐れがあるため、今後の状況を注視する。

 鹿児島県では1日、長時間にわたって強い雨が降り続いた。日置市では午後2時20分までの24時間雨量が観測史上最多の327ミリを記録。同市を流れる大里川が、下流域のいちき串木野市内で昼ごろに氾濫した。

 同市大里地区では60ヘクタールの水田が冠水。現在は水が引いているが、同市農政課は「海沿いのため塩害が心配だ」と話す。同地区では複数の農業用ハウスにも浸水。収穫期だったパッションフルーツ1棟と、オクラ2棟がそれぞれ被害を受けた。

 宮崎県でも、えびの市や都城市などでまとまった雨が降ったが、道路が冠水して通行できない場所があり、被害状況の調査は進んでいない。
 

土砂災害 警戒緩めずに


 気象庁は1日、全般気象情報を発表し、西日本で4日ごろにかけて局地的に非常に激しい雨が断続的に長期間降るとして厳重な警戒を呼び掛けた。同庁によると、6月末から西日本、東日本の太平洋側を通る梅雨前線に、太平洋高気圧の縁から湿った暖かい空気が流れ込んでいる影響で前線が活発化し、西日本の太平洋側、特に九州地方を中心に大雨を招いた。梅雨前線は今後1週間、同じ場所に停滞し続ける見通しだ。

 梅雨前線は大陸側から流れ込むジェット気流と太平洋高気圧の影響で停滞。2日午後6時までに予想される24時間雨量は九州南部150ミリ、九州北部100ミリ、四国地方80ミリ。同庁は土砂災害や河川の増水、浸水などへの注意を呼び掛けた。特に九州南部など地盤が緩んでいる所では、土砂災害などのリスクが高まっている。

 同庁は1日午後5時の段階で、宮崎県や鹿児島県の一部地域で全員避難を求める警戒レベル4に当たる土砂災害警戒情報を発令した。「激しく長い雨の影響で、土砂災害や洪水などのリスクが高まっている。発達した積乱雲が近づく兆しがある場合は、安全確保に努めてほしい」としている。 
 

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは