ツマジロクサヨトウ 鹿児島で発見 県が初動防除 世界で農業被害
2019年07月04日
ツマジロクサヨトウの幼虫(農水省横浜植物防疫所提供)
国内未発生の害虫、ツマジロクサヨトウの幼虫が鹿児島県南九州市の飼料トウモロコシ畑で見つかったと、県が3日に発表した。この害虫は近年、アフリカや中国など世界的に拡大し、大きな農業被害を与えており、侵入を警戒していたもの。同県には飛来して侵入した可能性があり、県は農水省と連携して初動防除に当たる。拡大を食い止めるため、疑いのある虫を見つけたら、関係団体に連絡するよう求めている。
ツマジロクサヨトウは、ガの仲間であるヨトウムシ類の一種。幼虫が、稲やトウモロコシなどのイネ科作物や、カブやキュウリ、トマト、ナス、サツマイモ、大豆などを食い荒らす。アフリカなどで猛威を振るっていた。農水省によると、2019年には中国や台湾でも発生・被害が広がっている。
発生農場では、幼虫が成虫にならないよう飼料トウモロコシをサイレージ化し、防除する方針だ。同時に使用可能な農薬を調べる。県によると、的確な防除をすれば被害は抑えられるとしている。
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ツマジロクサヨトウは、ガの仲間であるヨトウムシ類の一種。幼虫が、稲やトウモロコシなどのイネ科作物や、カブやキュウリ、トマト、ナス、サツマイモ、大豆などを食い荒らす。アフリカなどで猛威を振るっていた。農水省によると、2019年には中国や台湾でも発生・被害が広がっている。
発生農場では、幼虫が成虫にならないよう飼料トウモロコシをサイレージ化し、防除する方針だ。同時に使用可能な農薬を調べる。県によると、的確な防除をすれば被害は抑えられるとしている。
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2019年12月14日
ヨーグルト減速 多様な効能 消費反転へ
乳酸菌などの機能性と健康効果が広く知られ、急成長を続けてきたヨーグルトの消費がこの2、3年減っている。機能性をうたう食品が数多く登場し、需要の一部が流れているためだ。酪農振興のためにも、業界ぐるみでヨーグルトの多様な効能をアピールし、消費の定着と拡大につなげるべきだ。
ヨーグルトの生産量は、この10年で1・4倍以上に拡大した。乳業メーカーの推計では、ピーク時の2016年の市場規模は4000億円を超えた。総務省の家計調査(2人以上世帯)でも同年までは右肩上がりで、年間支出額は1万3495円と09年より6割以上増えた。
急成長の最大の要因は、乳酸菌やビフィズス菌の機能性と健康効果が広く知られたことだ。手軽なドリンクタイプが増えて消費増を後押しした。だが、市場規模は17年から減少に転じ、17、18年はいずれも前年比2%減。家計調査でも18年の支出額は1万3203円となった。
なぜ消費が頭打ちになったのか。機能性や健康効果をうたう食品が増えたためだ。同じ乳製品でも高い栄養価を売りにチーズが消費を伸ばした。乳酸菌市場で消費者の選択の幅も広がった。非乳業の大手食品メーカーも乳酸菌に注目し、飲料や菓子など乳製品以外の売り場に乳酸菌入り商品が増えた。
ヨーグルト消費の後退を食い止め、再び伸ばすことは可能だろう。この間、業界ぐるみで「人の健康に有益に働く生きた微生物(=プロバイオティクス)」の役割を広く発信し、腸内環境を「善玉菌」で整えることや、「腸活」の考え方を定着させてきた。健康管理の新たな知識を消費者に浸透させたのは画期的であり、ヨーグルト消費の土台をつくった。
民間調査会社の富士経済は乳酸菌・ビフィズス菌含有食品市場とのくくりで市場規模をまとめた。ヨーグルト消費が減少しても右肩上がりで、16年度の7400億円から18年度は7800億円に増加。20年度には8000億円に達する有望市場と捉える。その中にはヨーグルト以外の食品も含まれるが、腸活につながる消費行動が今後も活発化する可能性を示している。
大手乳業メーカーのヨーグルトの新たな提案にも注目したい。ビフィズス菌の効果を訴えるため森永乳業は、製薬会社や、大腸で同菌の餌となる水溶性食物繊維の製造会社と共同で「大腸活」の情報発信を始めた。雪印メグミルクは、目や鼻のアレルギー反応を緩和する「乳酸菌ヘルベ」入りヨーグルトを来年1月に発売する。機能性タイプで市場をけん引してきた乳業最大手の明治は、低カロリーのヨーグルトに商機を見る。
原料は近年、脱脂粉乳から風味の良い脱脂濃縮乳に移りつつある。だがパンや飲料など他の食品にも使われ需要に供給が追い付かない。ヨーグルト市場を拡大し酪農振興につなげるには、生乳の増産対策が不可欠だ。
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2019年12月10日
Kura Gelate(クラ ジェラート) 宮城県大崎市
日本酒「宮寒梅」の醸造元である宮城県大崎市古川の合名会社、寒梅酒造が販売するオリジナルアイス。味は「古川いちごジェラート」「大吟醸酒粕(さけかす)ジェラート」「大吟醸酒粕&古川いちごジェラート」の3種類。同酒造の酒粕とJA古川いちご部会が生産した「古川いちご」を使用する。
商品開発をした同酒造の岩崎真奈さんは「古川にもおいしいイチゴがあることを知ってもらい、大人だけでなく、子どもにも喜んでもらえればうれしい」と話す。
1個(90ミリリットル)350円(税別)。同酒造で販売。全国発送もしている。問い合わせは合名会社寒梅酒造、(電)0229(26)2037。
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2019年12月10日
ドローンで空輸 できたらいいな 取れたて野菜 即店頭へ 秋田県仙北市が試験
秋田県仙北市は国家戦略特区の認定を生かし、ドローン(小型無人飛行機)を使って青果物を運搬する実証試験に乗り出した。輸送条件の良くない中山間地域での青果物の運搬に、ドローンが使えるかどうかを確かめる。農薬散布など農業への利用が広がる中、運搬用には法規制などもあり乗り越えるべき壁はまだ多いが、人手不足が深刻な中山間地域でのドローンへの期待は大きい。(音道洋範)
ホウレンソウが空を飛ぶ──。11月中旬、市内の中山間地域で行った実証実験では、農家民宿から収穫したてのホウレンソウと焼きたてのおやき約2キロを、2・8キロ先の直売所に向けて運搬した。
中山間 3キロ10分で到着
民宿の裏庭から飛び立ったドローンは、上空50メートルほどまで上昇した後、あらかじめ設定しておいた経路に沿って直売所まで飛行した。10分ほどで直売所近くの広場に到着し、すぐさま店頭に商品が並んだ。
実験に協力した農家民宿「星雪館」の代表、門脇富士美さん(48)は4カ所の直売所で野菜などを販売する。輸送に往復1時間近くかかる場所もあるため「ドローンに運搬を任せることができれば、空いた時間で他の仕事をできるようになる」と期待する。
法律、価格、天候 壁高く
仙北市では2015年に国家戦略特区の認定を受け、ドローンの活用に取り組んでいる。市内では既に農薬散布用のドローンは実用段階に入った。市農業振興課によると、農家が市の助成事業を活用して7台を購入。来年度はさらに10台近くが増える見通しだ。担当者は「年齢や法人、個人を問わず、幅広い場所で使われ始めている」と説明する。
ドローンの運行を担当した東光鉄工(秋田県大館市)によると「自律飛行は技術的に可能なレベルに到達している」が、法律上の規制が運搬用途での実用化に向けた課題になっているという。
国土交通省が今年8月に公表したガイドラインでは、ドローンを飛行させるには、原則として目視による確認が必要。今回の試験では複数の補助者が配置され、飛行ルートと並行する鉄道会社の職員も監視するなど、警戒態勢が取られた。そのため、「現状では車を使って輸送する方が効率的」との声も上がる。
価格面も課題だ。門脇さんは「1台10万円くらいなら手が届く」と話すが、物資運搬が可能な大型機は100万円を超えることがほとんどで、手軽に購入することはまだ難しい。また、試験時の天候は雨交じりで「強い雨の中では電気回線に不具合が出る可能性がある」として直前まで飛行が危ぶまれた。
市地方創生・総合戦略室の藤村幸子室長は、目視外飛行への法規制などさまざまな課題があるとしつつ「ドローンは人手不足が深刻な中山間地域にとっては有効な手段。実証試験を繰り返して課題を克服し、将来的な実用化につなげたい」と話している。
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2019年12月12日
「森林サービス」創出 健康需要で産業化へ 林野庁
林野庁は、森林空間を活用した「森林サービス産業」の創出に乗り出した。森林空間そのものを活用し、これまでの木材生産・供給だけでなく、健康需要などを見据えて森林体験や商品開発で新たなビジネスを生み出し、山村地域に新たな雇用と収入を生み出すのが狙い。どれだけ多くの民間団体・企業の参入を促し、定着させることができるかが鍵となりそうだ。
同庁は、健康志向の高まりに加えて、企業が従業員の健康管理を考える「健康経営」の考え方が広まっていることや、インバウンド(訪日外国人)需要が伸びていることに着目。「健康」「観光」「教育」の観点で森林を活用して、新たな需要を取り込むのが「森林サービス産業」の狙いだ。子育て層を対象にした森林体験、企業の研修・保養利用などを想定する。
具体策を検討するため、同庁は有識者らでつくる森林サービス産業検討委員会(委員長=宮林茂幸東京農業大学教授)を設置。①エビデンス(効果)②情報共有③香イノベーション──の専門部会で議論に着手。19年度中に報告書を取りまとめ、20年度以降、モデル育成を本格化させる。
香イノベーション部会では、スギやヒノキなどを精油の原料として有望視。新たな市場形成を見据え、精油の効用やアロマテラピーでの使用状況などを調査する。
エビデンス部会は、森林浴などが健康に与える効果のデータを集積し、事業化を後押しする。今年度は研究成果などの情報を集める。
情報共有部会では、森林サービス産業に関心を持つ企業や団体、自治体などを引き合わせるプラットフォームの創設を構想。同庁は「Forest Styleネットワーク」を発足した。12月3日時点で63の企業や団体、地方公共団体などが加入。今後、新たな事業が生まれるきっかけを生み出す交流の場としたい考えだ。
同庁は「民間や自治体と協力し、モデル地域の育成を進めていく」(森林利用課)としている。
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2019年12月15日
営農の新着記事
GA×BA 植調剤組み合わせるだけ コチョウラン高品質に 花茎伸び花数が増 愛知県農総試
愛知県農業総合試験場は、植物成長調整剤のジベレリン(GA)とベンジルアデニン(BA)の処理を組み合わせることでコチョウランの花茎を伸ばし、花数を増やす技術を確立した。1週間おきに、花茎にGA、花茎先端部にBAを噴霧することで、比較的簡単に高品質なコチョウランを生産できる。
コチョウランは、贈答用需要があり、花数が重要だ。計画的な開花に向け、5~10月の高温期の冷房処理が一般的だが、維持管理が難しく、花数の減少や花茎の伸長不良など品質低下対策が求められていた。
今回の技術はGA処理で花茎を伸ばし、BA処理で花数を増やす。GA処理は、長さ5~20ミリの花茎に1週間おきに、GA(濃度100ppm)を2回散布する。無処理に比べ、花茎長を6~7センチ伸ばせた。
BA処理は、つぼみが7個ほど付いた後、花茎の先端に1週間おきに、BA(濃度30ppm)を5回以上噴霧する。無処理では10輪程度だが、BA処理を3~5週続けると、3輪ほど増える。BA処理は続けるだけ花数が増えるが、花が小さくなることがあるので注意が必要だ。
同試験場は「12月にBAがコチョウランで農薬登録され、現場での普及が進みそうだ。技術の利用で生産者の所得向上が期待できる」としている。
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2019年12月13日
青パパイア スピード収穫 露地で4カ月越冬不要 メーカーが品種提案
健康食材として農家が直売所で販売する他、JAが産地化を進めている青パパイア。本州を中心に、果実ではなく野菜のように食べる栽培が広がる中、種苗メーカーが冬越ししない1年完結の栽培モデルの普及に乗り出した。成長の早い多収品種を育てて冬が来る前に収穫し終えるもので、露地栽培が難しかった本州でも産地化に向けた動きが活発化しそうだ。(北坂公紀)
本州産地化に期待
パパイアは中南米原産で、複数年にわたり実を付ける多年生植物。黄色く熟した実は果実として食べられる他、熟す前に収穫した青パパイアはサラダなどで食べられる。特に青パパイアは、ビタミンやポリフェノールといった栄養成分、ダイエット効果があるとされる酵素を豊富に含み、健康食材として注目されている。
一般的に、パパイアの収穫は定植の翌年以降に本格化する。ただ熱帯原産で凍害に弱く、気温が0度を下回ると枯死するため、国内では越冬が栽培上の大きな課題だ。そこで、種苗メーカーの丸種(京都市)は、パパイアを1年完結で栽培するモデルを示した。
この栽培で鍵を握るのが品種だ。同社では成長が早く多収の6品種を提案。苗木の定植1年目で1本当たり約30個の収量を実現し、単年での栽培を可能にした。
栽培モデルでは5月ごろに30センチ程度の苗木を定植。4カ月後には樹高が最大2メートルに達し、1個1キロ前後の実が収穫できる。実は秋にかけて断続的になり、本州では完熟しないため青パパイアとして利用する。収穫後、冬場になると木は低温で枯死し、さらに春先まで放置すれば腐敗が進み、土にすきこむことができる。
同社は「越冬が不要だと、従来は九州南部に限られていた露地栽培が、関東以西で可能になる」と説明。「越冬するための設備投資や燃料費が必要なハウス栽培に比べ、生産コストを大幅に抑えられる。手軽にパパイア栽培ができる」と強調する。
販売初年の2019年の苗木の販売量は約5000本。20年には大きい果実が収穫できる品種「フルーツタワー」を発売して品ぞろえを充実させ、販売を強化する。
機能性注目 生産が拡大
農水省によると、データがある直近の16年の国内生産量は487トンで、前年から倍増。過去10年で最多となった。県別では果実の生産が中心とみられる鹿児島県が364トンと最大で、全体の7割強を占めている。
果実の産地振興や消費拡大に取り組む中央果実協会の朝倉利員審議役は「パパイアは獣害や病害が少なく、生産に取り組みやすい。近年は機能性成分に注目が集まっており、消費は増加傾向にある。葉を茶に加工するなど、利用の幅も広がっている」と期待する。
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2019年12月13日
和子牛高騰「利益出ぬ」 家族経営にも「支援拡充を」 畜酪対策で佐賀の農家
2020年度の畜産・酪農対策を巡り、家族経営への支援策が焦点になっている。和牛子牛相場が高止まりする中、資金に余裕がない中小の肥育農家は経営改善に向けた新たな投資に踏み出しにくいのが実情だ。安定的な和牛生産を続けるため、家族経営でも利用できる支援の拡充を求めている。
肥育だけでは…慣れぬ繁殖も
佐賀県伊万里市で、家族と共に肥育経営をしてきた田口敬一郎さん(63)は、17年に繁殖雌牛を導入して一貫経営に乗り出した。肥育一本で生きてきた田口さん。繁殖の知識は少なく不安も大きかったが、踏み出したのは「市場で良い子牛を買えないからだ」と明かす。
田口さんが仕入れに行く長崎県や大分県の市場の子牛価格はここ数年、80万円以上で推移することが多かった。その相場で導入した牛を田口さんは現在、125万円ほどで出荷している。餌代や光熱費、資材費などを差し引くとほとんど利益が残らない計算だ。
このままでは経営が危うい──。田口さんはそんな思いで一歩を踏み出した。自家繁殖すればせりで買うより、コストを半分近くまで抑えられるからだ。2棟あった肥育用牛舎の一つを、部分的に繁殖用に改築した。
肥育経営が順調とはいえない中で数百万円がかかり、資金の捻出に苦労したという。「中小の肥育農家ほど一貫経営に乗り出すべきだが、使えるお金は少ない」と指摘する田口さん。家族経営の規模でも維持・増産を目指せるような支援策の必要性を訴える。
クラスター事業 要件緩和を要請
国はこれまで、畜産クラスター事業で畜産の生産基盤の維持・拡充を進めてきた。ただし一般的な施設整備の場合、対象となるのは地域の平均規模以上に飼養頭数を増やすことや、生産効率を向上することが条件。余力のない中小経営は手を出しにくい例が多かった。
JA全中は20年度畜産・酪農対策の重点要請で、地域全体の生産力の底上げにつながるよう、畜産クラスター事業の規模拡大要件の緩和を求めている。この他、肉用子牛の高騰が続いているため、家畜の導入などへの支援拡充を提起。経営を継承した際の支援なども必要とする。
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2019年12月08日
[岡山・JA岡山西移動編集局] 水稲品種 古参に脚光 多収の晩生「アケボノ」生産拡大 業務用、酒造で引き合い
JA岡山西は、もうかる米作りの一環で、70年ほど前に育種された水稲「アケボノ」の生産拡大を進めている。古い品種だが、業務用米や酒造原料米として実需者の引き合いが強く、栽培しやすい多収性の晩生種として、生産者にも人気が高い。ポスト「コシヒカリ」をにらんだ品種開発が盛んだが、実需のニーズを見極めて古い品種にも光を当てた形だ。2018年産の集荷数量は1278トンで、品種別では主食用米の3割を占める計算だ。19年産は1440トンの集荷を目指す。
「朝日」と「農林12号」を親とする「アケボノ」は1953年に品種登録された。多収で倒れにくいのが特徴。米は、炊くと粒が大きく、歯応えがあり、あっさりした食味が楽しめる。外食や中食用として使われ、県内の卸業者は「粘りが少なく加工に向く。特にすし飯の需要が大きい」と説明する。酒造用の掛け米としても人気があり、JAの川上勝之営農部長は「生産拡大を呼び掛けているが、需要に供給が追い付かない状況だ」と話している。
同県浅口市の平喜酒造は「アケボノ」を掛け米だけでなく、こうじ米としても使う。原潔巳部長は「タンパク質が少なく、きれいなこうじができる。造った日本酒は淡麗な味わいで、料理に合う。米の品質にばらつきがないのも良い」と分析する。
生産者からの評価も高い。15ヘクタールで水稲を育てる倉敷市の山地康弘さん(59)は「費用や手間がかからず、安定して多収が見込める。晩生種のため、コシヒカリやヒノヒカリなどと作期分散しやすい」と栽培の理由を話す。
10アール当たり収量は例年、約540キロで、「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」よりも約120キロ多いという。一方、肥料代は10アール当たりで2000円ほど安い。JAの概算金は、最も高い「コシヒカリ」に比べると、18年産で60キロ当たり約1100円安いが、利益は「アケボノ」の方が大きくなる。
地域では、9月上旬から10月上旬に「あきたこまち」「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」「にこまる」を収穫し、「アケボノ」は例年11月5日ごろに刈り取っている。山地さんは「品質が落ちないので、作業を急がずに済む」と、融通の利く特性にも満足する。「生産者にとって頼もしい品種。作り続けたい」と意気込む。
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2019年12月05日
直播向き米品種 耐病・耐暑多収強み 農研機構
農研機構・東北農業研究センターは27日、倒伏しにくく、直播(ちょくは)栽培に適した水稲品種「しふくのみのり」を育成したと発表した。これまでの直播栽培向け品種「萌(も)えみのり」に比べて暑さやいもち病に強いのが特徴。良食味で多肥直播栽培の10アール当たり収量は750キロを超える。
2019年11月28日
ブドウ果肉まで赤 ワイン用品種出願 大阪府
大阪府立環境農林水産総合研究所は、果肉まで暗赤色で、濃い赤色のワインが造れる醸造用ブドウ「大阪R N―1」の品種登録を出願した。一般的な赤ワイン用品種に比べ、植物色素のアントシアニン含量が数倍になるという。地球温暖化の影響による高温で果皮の着色不良が問題となる西日本などの地域でも高品質なワイン造りにつなげられる有望品種として期待される。
赤ワインは原料のアントシアニン含量が多ければ、濃い赤色に仕上がる。「大阪R N―1」の果実のアントシアニン含量は、赤ワイン用品種として知られる「ピノ・ノワール」や「メルロー」を数倍以上に上回る。国内で栽培されている既存品種にも果肉まで赤色になるものはあるが、単独で醸造しても風味が優れなかった。「大阪R N―1」は果実品質が良く、単独で醸造しても風味が良いワインになる。
この品種は府内の醸造所(ワイナリー)が40年ほど前に育成した。2018年に同研究所が新設した「ぶどう・ワインラボ」が、既存品種と異なる特性を持つことを確認した。今年3月5日に出願した。親はまだ特定できておらず、解析を進める。
苗の生産体制を整え、府内を中心に普及を進める考えだ。同研究所は「西日本を中心に、温暖化による高温で原料ブドウの果皮色が出にくくなっている。新品種で課題に対応できる」と有望視する。
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2019年11月27日
冬の大輪 優しく満開 蜂も人も元気“満タン” 香川県三豊市生産者の団体
香川県三豊市山本町河内地区に、季節外れのヒマワリ畑が出現し、話題を呼んでいる。地元農家の団体「河内アグリ活動組織」が秋冬に不足しがちなミツバチの栄養源にしようと耕作放棄地や休耕田を利用し、10カ所、計約1・5ヘクタールで栽培した。寒い日が増える中、花はまだ咲く予定で、12月半ばまで楽しめる。
事務局の白川良三さん(68)は「ミツバチも喜ぶし、きれいな花は多くの人を喜ばせるので一石二鳥」と語る。タマネギの採種をしている白川さんは、養蜂家から「冬は花が少なく、栄養不足で蜂の群れが小さくなる」と聞いていた。
そこで耕作放棄地などを利用してヒマワリを育ててみることにした。組織では、夏に幼児向けのヒマワリ迷路を作っており、こぼれた種が発芽し秋冬に花を咲かせることがあったという。
一昨年、9月に種をまくと、花が咲く時期に霜が降り元気を失ってしまった。昨年は8月上旬に種まきしたところ、10月中旬から12月中旬まで見事に咲き続け、今春、蜂箱にたくさんのミツバチが確認できた。白川さんは「ヒマワリの蜜で体力を付けた多くの蜂が冬を越した」と推測する。
「冬にこんな大輪に育つとは」「夏より優しい黄色」「一面に咲いて圧巻」などと好評で、多くの人が見物に訪れている。「自由に摘み取り、持ち帰って楽しんで」と白川さんは話す。
開花に合わせ、日曜日にヒマワリ畑で農産物の販売やミカンの詰め放題(100円)なども行い、一層の地域活性化に力を注いでいる。
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2019年11月26日
世襲より人物本位 “伴走” 期間経て 経営・信頼つなぐ
米や大豆、麦などを栽培する土地利用型の農事組合法人や大規模農家が、地縁や血縁のない従業員や若者らに経営をバトンタッチする第三者経営継承に取り組むケースが出てきた。農機など有形資産だけでなく、地権者の信頼も継承。経営主が後継者に経営ノウハウを伝える伴走期間を経て、次世代の担い手確保に対応する。
土地利用型の第三者継承
富山県砺波市の農事組合法人「ガイアとなみ」。同市若林地区を中心に130ヘクタールで米や大豆、麦などを栽培する。2年前、組合長は同地区の紫藤康二さん(70)から、地縁や血縁のない従業員だった中島一利さん(43)になった。
同法人は、地区の二つの営農組織が合併して1995年に法人化した。稲作に興味のあった中島さんが就職したのは2000年。ハローワークで求人を知り、近隣の射水市から通勤してきた。当初、中島さんも紫藤さんも後継者候補という意識はなかった。
紫藤さんは60歳ごろから継承を考え始めたが、法人の構成農家の身内には希望者がいなかった。次第に、人柄が信頼でき勉強熱心な中島さんに継承したいと考えるようになった。他の役員と話し合い、「世襲でなく、若く意欲のある中島さんに後を継いでほしい」との思いを長年伝え続けた。
作業計画の立案など責任ある仕事を意識的に任せられた中島さんは、組合長になることを見据えて、12年に法人に出資して役員となった。「土地に縁のなかった自分が後を継いでよいのか悩み、即決できなかった。ただ、地域の財産である農地をつなぎたいという気持ちはあった」と中島さん。5年かけて準備し、組合長に就任した。
資産は全て法人所有で、手続きは組合長の名義変更だけで完了した。地権者には段階的に丁寧に説明し、反対する人はいなかった。
現在、役員3人全員が同地区以外の出身で、中島さんは今も通勤しながら組合長を務める。同法人は役員、従業員の平均年齢が30代。イチゴ経営を始めるなど新品目にも挑戦する。中島さんは「土地利用型は地域を守る意味があり、存続が地域問題に直結する。自分も次の継承を見据えて経営する」と強調。紫藤さんは「経営ノウハウや思い、悩みも共有し、信頼を築けたので第三者継承が実現できた」と考える。
地縁・血縁超え
新潟県村上市で米など66ヘクタールを経営する農業生産法人「神林カントリー農園」では3年前、前社長とは血縁関係のない吉村敏秀さん(55)が代表を引き継いだ。吉村さんは「従業員として30年以上働いた長い準備期間があった。経営を継承するのに、血縁は特に関係なかった」と話す。
埼玉県熊谷市で25ヘクタールで米麦などを栽培していた掛川久敬さん(74)は今年1月、知人に紹介されて手伝いに来た20代の若者に経営のバトンを渡した。掛川さんが3年間、農業技術などをみっちり伝授。農機などは減価償却で計算し、農地や作業場は賃借料を払ってもらう。掛川さんは「地権者には自分が責任を取ると了解してもらった。意見のずれはあっても、最終的に判断するのは経営者。若者の意欲を尊重したい」と見守る。
担い手確保へ多彩な手法を 東京農業大学の内山智裕教授の話
果樹や畜産に比べ、土地利用型は地権者との関係性を踏まえなければならず、第三者継承には難しさを伴う。ただ地域資源を守っていくためには、第三者を含め多様な形で土地利用型の後継者確保を考えなければならない。
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2019年11月25日
棚田「残したい」7割 多面的機能に評価 農水省 初の意向調査
農水省は、棚田地域振興法の成立を受けて、棚田に対する国民の意向を初めて調査し、「棚田を将来に残したい」という回答が7割に達した。棚田米の購入などによる支援を望む声も多い一方で、支援したいと思わない回答も一定数を占めた。条件不利地での営農継続に向けて、国民全体で棚田を支える機運をどう高めていくかが問われる。
「支援せぬ」働き掛けを
全国の20歳以上を対象に調査し、1102人から回答を得た。
棚田を将来に残したいと回答した割合は、「知名度は高くないが地域で守ろうと頑張っている棚田は残したい」が51%、「全ての棚田を残したい」が17%、「一部の有名な棚田だけは残したい」が8%で、合計で76%に上った。
棚田を維持、保全したい理由は「澄んだ空気や水、四季の変化などが癒しや安らぎをもたらす」、「農地や農作物などがきれいな景色を作る」がいずれも37%と最多だった。多くの回答者が棚田が生み出す多面的機能を評価した格好だ。
一方、棚田を将来残すべきかどうかについて、「残ってほしいが荒れるのは仕方ない」が19%、「全てなくなっても構わない」が6%と、棚田の維持に理解を示さない回答も一定割合を占めた。理由は「農業をするには効率が悪い」が43%と最も多かった。
棚田の維持や保全のために何かしたいかについては、「したいと思わない」が34%で最も多かった。
ただ、2番目は「インターネットなどで棚田米などの農産物や加工品を購入したい」が26%、次いで「棚田を訪問し、棚田米などの農産物や加工品を購入したい」が23%、「ふるさと納税を通じて支援したい」が20%と、一定数が自ら支援したい意向を示した。
同省は「棚田が必要で、支えるべきと考える国民は多いと言えるが、理解が浸透していない部分もある。保全に向けた支援に加えて、国民への一層の周知にも力を入れたい」(地域振興課)と話す。
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2019年11月24日
旅するチョウ 花で“誘致” フジバカマ 栽培広がり町活気 香川
日本列島を春は北上、秋は南下し、合わせて2000キロ以上を旅するといわれるチョウ「アサギマダラ」。5年ほど前、その渡りの途中で香川県内に飛来することが話題になり、花を植えて呼び寄せる活動が観音寺市を中心に島しょ部に広がっている。
羽を広げると10センチほどの大ぶりのチョウで、模様の一部が「あさぎ色」であることが名前の由来。2014年、同市の有明浜で地元の自然観察会グループがその姿を確認し、「有明浜の海浜植物とアサギマダラ飛翔会」を立ち上げた。
調べてみると、アサギマダラの成長には特定の植物の蜜の摂取が必要だった。春は有明浜の「スナビキソウ」に、秋は多年草「フジバカマ」を目当てに立ち寄るという。
会は同市伊吹島の遊休農地などに植栽しチョウの“誘致”に成功。その後、元農業改良普及員で同会の杉村勝司会長が、フジバカマを挿し芽で1年に1000株以上を増やし、希望する学校や団体に寄贈を続けてきた。
市内の介護複合型施設「大興和の杜(もり)」もその一つ。目の前にある休耕田約5アールに3年前からフジバカマを植えている。今年は暖冬で、平年より1週間ほど遅い10月中旬から飛来したという。
施設の高嶋一志事務長は「アサギマダラが来ると、利用者やスタッフが写真を撮ったり、散策に出たりして楽しんでいる。施設の利用者にとっては生きがい」と笑顔を見せる。
同会によると、フジバカマの栽培は、同市の吉原地区、三豊市の粟島、丸亀市の本島などの団体や施設にも広がっている。
杉村会長は「アサギマダラが、人と人とのつながりを強め、地域を元気にしてくれた。自然の大切さも伝えていきたい」と話す。同会では、季節になると伊吹島の港に案内板を立てるなど、観光客を呼び寄せる工夫もしていく。
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2019年11月20日
