七夕の竹飾りから『竹取物語』へと思いが飛ぶ

 七夕の竹飾りから『竹取物語』へと思いが飛ぶ。竹から生まれ月へ帰るファンタジーと、貴公子らの求婚を袖にする物語がえもいわれぬ余韻を残し、古来から人を引き付けてやまない▼『竹取物語』は今からおよそ1100年前の平安時代初期に書かれた。プロポーズした5人の貴公子のうち1人は、名門貴族の藤原氏繁栄の基礎を固めた藤原不比等がモデルという説がある。ならば物語は日本最古の風刺小説だったことになる▼焼いても燃えない布。竜の首の珠(たま)。かぐや姫が求婚を受ける条件として5人の貴公子に求めたのは難題ばかり。いずれも合格点をもらえず、藤原不比等がモデルとされる貴公子に至っては最も嫌いな「心たばかりある人(策謀家)」として描いた▼竹は天に向かって真っすぐ伸びる。神様が宿る神聖なものともされてきた。竹から生まれたのは、美しく純粋な存在として表すためかもしれない。かぐや姫は月を見て物思いにふけり、時には泣いた。不条理で、姑息(こそく)なやり方がまかり通る世を嘆き、悲しんだのだろう▼選挙のたびに政治家は甘い言葉で有権者の気を引き、「清き一票を」と懸命に求愛する。かぐや姫には今回の選挙はどう映るのか。「心たばかりある人」のあまりの多さに、やはり嘆き、悲しんでいるだろうか。
 

おすすめ記事

四季の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは