[2019参院選] 農村票の行方 不安と不満 受け止めよ

 日本農業新聞の農政モニター調査によると、自民党が野党を大きく上回る政党支持を集めた。だが、立憲民主党が前回の4月の同調査から支持率をわずかに上げるなど、農村票の行方は流動的だ。不安や不満に応える論戦を望む。

 政党支持率は、自民党が42・9%(前回46・7%)、立憲民主党が11・2%(同9・3%)で、立憲民主は支持率を1・9ポイント上げたものの自民は4割以上を維持する。だが、自民は支持層の8割しか固め切れておらず、比例区の投票先では、自民が38・3%、立憲民主が14・5%と、支持率より差が縮まる。

 比例区の投票先を地域別に分析すると、自民は北海道や東北で伸び悩んでいる。3年前の参院選で、自民、公明の与党は東北を中心に改選数1の「1人区」の11選挙区で野党統一候補に敗北した。米の生産調整見直しなどへの不信感が根強いことが一因とみられる。

 投票先とは別に、参院選で議席を増やしてほしい政党も尋ねた。議席を増やしてほしい政党の1位は立憲民主で26・2%、次いで自民が14%だった。安倍内閣は、農協改革などの規制緩和や農業改革を官邸主導で推し進め、環太平洋連携協定(TPP)と日欧経済連携協定(EPA)が相次いで発効した。議席を増やしてほしい政党で立憲民主が1位になったのは、安倍内閣の農業政策への不満の表れとみられる。

 とはいえ、立憲民主も比例区の投票先で支持は広がっていない。立憲民主以外の野党の政党支持率や比例での投票先は、軒並み10%未満と低迷したままだ。安倍内閣の農政への厳しい評価は自民の政党支持率と連動せず、野党が不満の受け皿となれていない。

 参院選の投票を判断する上で、重視する農業政策で最も多かったのは「食料自給率・自給力」だった。これに「TPP、日米貿易協定交渉などの通商政策」「地域の活性化」「農協改革」「担い手育成」が続いた。人口減少が農村を直撃し、農業の生産基盤が弱体化していることへの危機感がにじむ。

 日米貿易協定交渉では、トランプ大統領が声高に農産物市場の開放を日本に求めながら、自国の自動車分野は譲歩しない姿勢を示している。同交渉は「日本の利益にならない」との回答が72%に上ったことも各党は重く受け止める必要がある。交渉の実感が不透明なまま、参院選後の早期合意が目指されていることへの反発もあるとみられる。

 新自由主義的な規制緩和や経済政策で地方は豊かになれるのか。生産現場の声は農政にどこまで反映されるのか。各党の公約は予算の裏付けを含めて実効性があるのか。各党の公約だけでは分からないことも多い。

 3割がまだ投票先を決めていない。各党の代表や候補者らは、有権者が投票先を選択できる判断材料を選挙戦の論戦で示すべきだ。
 

おすすめ記事

論説の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは