トイレやっと… 豪雨支援者の声が契機 ミカン山働きやすく 愛媛県宇和島地域で試験設置進む

酒井さんの園地に設置したトイレ(宇和島市吉田町で=愛媛県提供)

 宇和島地域は全国屈指のかんきつ産地。近年、高齢化が進み、人手不足からアルバイトを雇用する農家が増えてきた。アルバイトからはトイレがない大変さを訴える声が目立つようになっていた。県南予地方局が17年度、宇和島地域の若い女性農業者を対象に「楽しく農業ができる環境づくり」について勉強会を開いた時も、「ミカン山にトイレがないのは大変」という声が相次いだ。

 このため同地方局は17年、宇和島地区農業改良普及事業推進協議会の支援で、同町の農業指導士、酒井いせよさん(60)の園地に、共同利用できる簡易水洗トイレを試験的に設置し、労働環境改善の効果を検証した。

 ミカンの収穫期の3カ月間限定だったが、男性からは「誰がトイレを管理するのか」など批判的な意見が多かった。一方、利用した女性から「助かった。きれいなトイレで気持ちが良い」と喜びの声が続出。「トイレが無い園地にはアルバイトに行きたくない」という声もあった。

 18年7月、同町は西日本豪雨で大きな災害を受けた。被災園地に来る大勢のボランティアやアルバイトに対応するため、同協議会の支援で酒井さんら3人の園地にトイレを再び設置した。

 だが、3カ所では絶対数が足らず、不便な思いをする人を見て男性側も必要性を感じ始めた。実際に利用して便利さを体感したこともあり、さらに認識を改めるようになったという。

 同地方局によると、平らで、し尿くみ取り車が入る場所の確保、設置費用、維持・管理費、誰が管理するかなど、さまざまな課題があるという。しかし、人手不足の現場では、女性だけの困り事ではなく、かんきつ産業の労働環境改善と捉える方向に流れが変わりつつある。

 同地方局は19年度、酒井さんら3人の園地にトイレを設置する他、町内のスプリンクラー制御室1カ所にモデルトイレを設置する予定だ。収穫期のアルバイト雇用に向けて設置を検討する農家も現れている。

 酒井さんは「トイレができてうれしかった。ミカン山にトイレがあることが当たり前になるよう声を上げていきたい」と明るく話す。 
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