[2019参院選] 「安倍農政」6年半 成長偏重の課題直視を

 論戦が激しさを増す参院選は、「安倍農政」6年半の是非も大きな争点だ。規制緩和と自由化に大きくかじを切った。地域農業の地盤沈下は止まらず、大きな課題を残したままだ。

 改選されるのは2013年に当選した議員たちだ。再登板した安倍晋三首相の政権6年半と任期がほぼ重なる。特に農業政策の是非は、与野党激突となる全国32ある「1人区」の投票結果に表れる。3年前の前回参院選の結果は自民党の21勝11敗となったが、東北を中心に「安倍農政」への厳しい評価が出た。日本農業新聞の農政モニター調査では、比例区の投票先は自民党が4割近くでトップだが、「安倍農政」を65%が評価していない。つまり、生産現場は現行農政に不満を持ちつつ、野党が不満の受け皿になり切れていない実態が浮き彫りとなった。こうした動きも反映するように、選挙戦前半の情勢は自公が改選過半数を確保する勢い。焦点の「1人区」でも、今のところ野党系候補は1桁にとどまるとの見方が強い。

 一方で、今年は農政にとって節目の年だ。それは秋に集中する。日米貿易協定交渉が大きなヤマ場を迎え、5年に1度の食料・農業・農村政策基本計画見直し論議も本格化する。出来秋の米作柄によっては、米過剰問題が一挙に噴き出しかねない。そんな中での参院選である。各党の農政の内容を精査したい。

 「安倍農政」の6年半は、農政の重要な針路を議論すべき審議会軽視が進み、「政高党低」の官邸農政が農協改革をはじめ農政改革を断行してきた。背後には、現場実態を無視した規制改革推進会議の提言などがあったことも看過できない。二階俊博氏が自民党幹事長となってから、党の存在感が増したものの、引き続き官邸農政の軌道修正が問われる。

 「安倍農政」6年半で国内農業はどうなったのか。本紙がまとめた各指標はプラスとマイナスが半ばする。“本丸”の食料自給率は38%にとどまる、担い手、食料自給力も弱体化が進む。安倍首相は、農業生産所得増、若手新規就農者の増加、農林水産物・食品輸出の拡大を挙げ、成果を強調する。問題は表面的な数字の内実だ。所得増をけん引した畜産や野菜の産出額は供給力低下に伴う価格上昇が大きい。生産基盤の弱体化が一時的に所得を押し上げている。農業の強さではなく、弱さこそ課題だ。19年の目標1兆円に向け輸出額は伸びているが、主力品目は水産物や加工品がほとんどで農家所得とは直接関係ない。

 半面、主な野党は「農業者戸別所得補償による農業者の所得底上げ」(立憲民主党)などを挙げるが、財源確保など実現には課題も多い。

 今回の参院選は、成長偏重の政策是正と、現場実態に即した地域農業を重視し家族農業にも光を当てる農政見直しとも重なる「選択」となる。 
 

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