養豚ワクチン接種 まん延防止、課題も 関係者の合意必須 農水省

 豚コレラの発生が3県に拡大し、養豚関係者からは豚へのワクチン接種を求める声が強まっている。ワクチンを使えば発症を食い止めることができ、農家の安心感にもつながる。だが、ウイルスに感染した豚の発見が遅れるなどデメリットも少なくなく、国は慎重に接種の是非を検討する方針だ。

 豚へのワクチン接種について、国の防疫指針では「平常時の予防的な接種は行わない」ことを原則としている。①殺処分と埋却による封じ込めが追い付かないほど同時多発した場合②広範囲に感染経路が全く分からない発生が起こった場合③野生イノシシ対策が不十分で、飼養豚での発生が続く場合──のいずれかを満たした場合、接種に踏み切る。

 農水省は、現在いずれも満たしていないと判断しており、接種に慎重な姿勢を崩していない。仮にワクチン接種を行う場合は、地域限定とするか、全国一律とするか、いつまで接種を続けるのかなど、農相が緊急防疫指針を定める。

 ワクチン接種には、どんなメリット・デメリットがあるのか。利点は、接種豚は発症しなくなってまん延のリスクを下げられること。何より農家が安心して作業できるようになることも大きい。

 一方、課題もある。ワクチン接種をすれば、接種した豚とウイルスに感染した豚について、抗体検査で区別ができなくなる。このためウイルスに感染した豚の発見が遅れる懸念がある。

 地域を限定して接種を行う場合、豚やその豚肉が地域から出ないよう、移動や流通の制限が必要となる。ウイルスを持った豚が、ワクチンを使っていない地域の農場や野生イノシシを汚染しないようにするためだが、豚肉の売り先が地域内に限られてしまう。

 ワクチン接種を全国一律で行った場合には、国際獣疫事務局(OIE)が認定する清浄国から外れて、非清浄国からの豚肉輸入解禁圧力が強まったり、接種が長期間にわたれば多額の費用が発生する課題もある。同省はワクチン接種を判断するに当たって、関係者間の合意形成が大前提としている。一連のメリット・デメリットを、関係者に丁寧に周知する方針だ。 
 

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