[未来人材] 34歳。若手農家・学生と結束、放棄茶園を畑に 地産地消 郷土愛育む 中村勇貴さん 静岡県浜松市

放棄茶園をトウモロコシ畑に再生した中村さん(静岡県浜松市で)

 静岡県浜松市の中村勇貴さん(34)は、過疎化が進む同市山間部の春野地区にUターン就農し、仲間の若手農家や学生と協力して地域活性化に取り組む。「春野耕作隊」というグループをつくり、放棄茶園を畑に再生。作った野菜は地区内で販売し、地域の魅力を地域住民に発信することで郷土愛を育てている。

 市街地から車で1時間。四方を山に囲まれた同地区で生まれ育った。大学入学を機に上京したが、「初日からホームシック」。故郷への思いを抑えきれなくなり、26歳で戻って葉ネギ農家となった。そこで直面したのが、少子高齢化と農業の衰退という、地方が抱える典型的な問題だった。

 特産茶の茶園は荒廃。17人いた同級生で残っているのは2人だけ。「どうすれば活気が戻るのか」と悩んでいた時、静岡文化芸術大学のボランティアサークルから、一緒に活動したいという相談を受けた。中村さんは「これがきっかけになる」と確信。農家3人と学生8人で、農業による地域活性化を目指した。

 1年目で大きな気付きがあった。放棄茶園を再生して畑にし、トウモロコシを栽培。新聞の折り込み広告で販売日を知らせると、行列ができて600本が即完売した。購入者は全員が地元住民。「みんな春野産だから買っていた。農家はいるが、外の市場や業者に持っていくため住民は買えない。地産地消ができる」と気付いた。

 グループを「春野耕作隊」と名付け、茶園の転換を続けた。面積は70アールに拡大。ダイコン、トマト、キュウリなど季節の野菜を作り、地元の商店やコンビニエンスストアで販売する。耕作隊は月1回活動し、学生や住民20人ほどが集まる。今では放棄地再生の依頼が入るほど、知名度も上がってきた。

 学生の名前は全員覚えて、深く長く付き合う。卒業生とは今でも連絡を取り合う。地域の魅力に引かれ、ここで就職した人もいるという。

 学生らと春野地区産を示すシールも作った。今後、野菜販売を拡大したときに、出身者の目に留まるようにする。「誰もが、故郷が好きという気持ちはある。でもどうしたらいいか分からない。遠くにいても故郷を感じられる機会を増やしていきたい」と中村さんは話す。(古田島知則)

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