豚コレラ 経営再開 進む準備… 最善対策も消えぬ不安 愛知県田原市

経営再開に向け豚舎を洗浄する瓜生さん(愛知県田原市で)(専門家や農家の指示で、入念な衛生対策の上、撮影しています)

 豚コレラの発生拡大が止まらない。養豚場での発生は岐阜、愛知、三重に続き、29日は福井県にも拡大、34例目が確認された。陽性の野生イノシシは、長野県へと範囲が広がる。日本の養豚産業を守るために、何をすべきか。経営再開に向けた被災農家を追った。

 台風6号が上陸した27日、愛知県田原市に、本来は出荷を待つ豚がいるはずの豚舎を洗う瓜生陽一さん(53)の姿があった。

 瓜生さんは2月、豚コレラが発生した近隣農家の関連農場として約3000頭を殺処分した。瓜生さんの豚や豚舎からウイルスや症状は出ていないが、発生農家と共同の堆肥置き場を使っていた。近隣農家の一斉の採血で発生農場の隣でも感染が分かり、覚悟した。「陰性でも殺処分を受け、ここで収めてほしいと思った」と殺処分に同意した。

 瓜生さんを含め同市では8戸16農場・約1万7000頭が殺処分の対象になった。一日でも早い終息を願い、仲間の家の殺処分も手伝った。防疫措置の完了までは、12日間を要した。

 それから90日間、ウイルスを封じ込めるため農場を閉鎖。再開に向けて洗浄を始めたのは6月に入ってからだ。断熱材として天井に設置していたウレタンフォームの裏は、ネズミの温床となっていた。全て剥がし、鉄骨の溝まで徹底して洗浄、消毒する。

 再開に向けて、ネズミが留まる場所をなくすため、屋根への暑熱対策を検討する。一部で不十分だった防鳥ネットをしっかり張る。

 近隣には陽性イノシシはいないが、いずれやって来るのではないかという危機感もある。フェンスで農場を囲い、侵入を防ぐ対策をする。

 農場の敷地内にウイルスを持ち込むリスクを少しでも減らすため、出荷業者のトラックを止める位置も変える。これまで豚舎の横まで入ってきたが、出荷デポ(拠点)を農場の近くに整備。農場からデポへ豚を移動した後、業者がデポから豚を運んでいくことで、交差汚染を防ぐ。

 あれから半年。経営再開の準備を進めるが、豚コレラ発生のリスクも頭から離れない。最善の対策に思いを巡らせる。

 28日時点では、6月12日が同市内での最後の発生。既に、防疫措置完了から28日後の移動制限も解除されている。豚舎の清掃を終えて消毒が済めば、9月上旬には新たな豚を入れる予定。

 疾病リスクを最小限にするため、近隣で殺処分後に経営再開する11戸と、SPF(特定病原菌不在)並みの衛生面に配慮した豚を導入する計画だ。

 それでも、「考えたくない事態だが、もし豚コレラが出てしまったら、また殺処分。豚へのワクチンを使う考えには賛同する」とワクチン使用を含めた強力な拡大防止策を訴える。 
 

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