[未来人材] 28歳。 「半農半スキー」 生活 地域に定着 中山間地の農業担う 佐渡仁美さん 広島県北広島町

「スキーも農業も毎日の積み重ねが大事」と話す佐渡さん(広島県北広島町で)

 夏は農業、冬はスキー――。広島県北広島町の佐渡仁美さん(28)は、同町で水稲などを栽培する農事組合法人芸北おおさで働きながら、アルペンスキーの競技選手として活躍する。2019年2月に札幌市で開かれた冬季国民体育大会の大回転部門では7位入賞と、過去最高の成績を収めた。法人ではキャベツやトマトの栽培を任されるまでに成長し、充実の「半農半スキー」生活を送る。

 小学1年生でアルペンスキーを始めた。スキー強豪校の県立加計高校芸北分校から日本体育大学に進んだ。大学卒業後は、スキーに打ち込める環境を求め、雪が多くスキー場があり、祖母が住む北広島町に、実家のある広島市から移住した。

 町内でアルバイトをしていた16年、同法人の市原政則代表に誘われ、24歳で就職した。農業は全くの素人。「初めは不安もあった」と振り返る。

 同法人は水稲25ヘクタールに、キャベツ、トマトなどを約3ヘクタールで育てる。初めはキャベツの水やりを忘れたり、トマトの接ぎ木で失敗したりした。市原代表や先輩の丁寧な指導で、少しずつ技術と農業への熱意を高めた。

 就農4年目の今年は、露地キャベツやハウスのトマト、ピーマンの栽培の主担当を務める。「忙しいが、手をかけた分だけ良い物ができる」と、農業の面白さに手応えを感じている。

 市原代表は「体力があり真面目。トマトの芽かきや誘引作業など根気の必要な仕事を安心して任せられる」と太鼓判を押す。

 キャベツの味に自信を持つ佐渡さん。直売所では自ら売り込み、リピーターを獲得。知り合いのお好み焼き店との取引につなげるなど、販路開拓にも意欲を見せる。直売所と協力し、取引先の店への納品分を直売所の倉庫に入れ、店が取りに来る納品方法も提案。配送のコスト削減につなげた。

 雪が多い農閑期は、スキー場のパトロールで生活費を稼ぎ、練習に明け暮れる。「夏に農作業で体力をつけて冬を迎えられる。農業はスキーヤーにとって一番良い仕事だ」と笑顔を見せる佐渡さん。充実した「半農半スキー」生活を送り、中山間地域の農業の担い手として活躍する。(鈴木健太郎)

 

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