地域の魅力 どう発信? アイデアブック作成 京都・福知山公立大学

地域資源を生かした地域の魅力発信の仕方を問う問題集

古里の魅力を考える「アイデアブック」を紹介する学生(京都府福知山市で=塩見特任准教授提供)

全国30市町―振興考える問題集  「古里教育」活用もっと


 京都府福知山市の福知山公立大学の学生たちが、出身地の魅力を問題集にした「アイデアブック」を続々と作成している。学生目線で地域資源に関する質問を投げ掛け、自由な発想で回答を導き出すという内容。既に全国30市町編が完成している。市役所の研修会で活用されるなど、地域ぐるみで古里を見つめ直す機会につながっている。

 アイデアブックは、農業と他の仕事を組み合わせる「半農半X」を研究する同大の塩見直紀特任准教授が2016年に考案した「ローカルビジネスのつくり方問題集」をアレンジしたもの。地域経済学を学ぶ学生の「地元を盛り上げたい」という思いを地域資源の掘り起こしと結び付け、17年からプロジェクトに取り組む。

 作成に当たって、学生がそれぞれの出身地ごとに16の地域資源を選出。設問では、その地域資源を生かした地域の魅力発信の方法を問う。例えば、徳島県阿南市編では「すだちを使ったイベントをするには、どのような料理がいい?」「そば米汁を有名にするには?」など郷土食のPRの仕方について質問。富山市編では「県外の人が北陸新幹線を使い、富山に滞在してもらうには?」など交流人口について考えさせる質問を設けるなど、地域の魅力をさらに発信できるアイデアを求める。

 正解を出すことにとらわれず自由な発想を持ってほしいという思いから、設問に対するヒントや答えは記載していない。そのため、みんなで地域について考えるきっかけづくりにぴったりだ。

 島根県安来市編を作成した3年生の内藤和さん(21)は「今まで当たり前に見ていた山や川、街並み全てが大切な資源になっていると考えると、より地元への愛着が湧いた」と実感する。

 茨城県桜川市編を作成した2年生の貝藤蒔奈さん(20)は「作成する中で市役所や青年会議所の人と話すうち、もっと市民に地元を好きになってほしいと思うようになった。市の魅力が16以上あり、問題を削るのが難しかった」と話す。

 プロジェクトを続けるうち、学生から同郷の友人とアイデアブックを作りたいという声が上がり、18年には他大学生とのコラボ作品(兵庫県香美町編)も完成した。

 完成した冊子は市役所や母校の高校などに学生自ら売り込み、配布する。作成に協力したことが縁となり、題材となった地域の市役所で職員研修に活用されたり、地域に関わりのある若者が集まって問題を解くワークショップが開かれたりするなど、地元での活用も広がっている。

 作成する過程で、学生には郷土愛や地域との関わりが生まれる。さらに、完成した冊子はさまざまな場所に売り込むため、PR力や問題意識も育まれる。

 塩見特任准教授は「学生には、何か作るだけでなく、作ったものを発信する力を付けてほしい。今後は日本全ての市町村編の作成を目指し、その地域での古里教育に活用してもらえたらうれしい」と期待する。
 

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