心を亡くすと書く「忘」は、この人たちのためにあるのかもしれない

 心を亡くすと書く「忘」は、この人たちのためにあるのかもしれない。多くの反対の声をよそに核兵器拡大に踏み出す▼米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領である。今月、中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄し、失効した。相互不信や軍事増強する中国への脅威を口実にするが、かつて米ソで演じた核競争の恐怖を忘れたか▼唯一の被爆国である日本がこういう時にこそ毅然(きぜん)と意見すべきなのに“無言”である。「核保有国と非保有国の橋渡しに努力する」と安倍晋三首相は言う。しかし、保有や使用を全面禁止する核兵器禁止条約にすら背を向けたままでは、被爆者から「ごまかしだ」との批判を浴びても仕方あるまい▼先日「原爆稲」を見た。74年前に長崎の爆心地に近い浦上天主堂横の水田で奇跡的に実ったもみを九州大学農学部の調査団が採取した。その“子孫”を心ある人たちが保存し続ける。放射線の影響で傷ついた稲は、出来秋になっても半分の穂が実らない。14年前から保存する上野長一さん(栃木県上三川町)は、「毎年空のもみを見るたびに原爆の怖さを思い起こす。大事な生き証人です」▼きょうは長崎原爆の日。無謀な為政者が忘れ去ろうとも、「原爆稲」は核の恐ろしさを伝え続ける。これからもずっと。
 

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