先祖や故人の霊が帰ってくる

 先祖や故人の霊が帰ってくる。道を間違わないように玄関で火をたいて迎える準備が進む▼あすは月遅れ盆の「迎え火」である。霊を早く迎えたいと馬に見立てたキュウリを供え、3日後の「送り火」には牛に似せたナスを置く。こちらはゆっくりと帰るようにと先祖を慈しむ。京都の「五山送り火」は、東山に「大」の字がともり、さらに、松ケ崎に「妙」「法」、西賀茂に船形、大北山に左大文字、嵯峨に鳥居形が浮かび上がる。夏の京の夜を照らす▼お盆の正式な名称は死者の冥福を祈る仏教行事の盂(う)蘭(ら)盆(ぼん)会(え)とされる。仏教では、死後の霊は成仏して十万億土のはるかかなたに行ってしまうと教える。それに“異論”を唱えたのが民俗学の柳田国男である。〈人は死しても霊は遠くへ行かず、故郷の山々から子孫を見守り、正月や盆には「家」に帰ってくる〉という独自の見解を『先祖の話』で展開した▼34年前のきょう、日航ジャンボ機が御巣鷹の尾根(群馬県)に墜落した。大阪に向かう乗客乗員520人の尊い命が失われた。今年も、慰霊登山で遺族らが「昇魂之碑」を目指す。そこに眠る精霊も、人々を見守っていてくれているだろうか▼火をともし無念の霊を迎えて慰める。あの惨禍を二度と繰り返してはならない。空の安全を祈る。 

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