アカミミガメ 駆除の手順要約 環境省がマニュアル
2019年08月14日
アカミミガメの防除を説明するマニュアル(環境省のホームページから)
環境省は、水路や水辺に生息する外来亀であるアカミミガメの防除でマニュアルを作った。初めて駆除対策を行う農家らを対象にし、作業の手順やわなの設置方法、記録の付け方などを分かりやすく説明した。アカミミガメは、レンコンの新芽や稲を食害するとの報告がある。環境省はマニュアルを産地での防除活動に役立ててもらう考えだ。
アカミミガメは、北米などに分布する亀で、ミドリガメとも呼ぶ。ペットとして輸入したものが逃げて繁殖し、国内に800万匹が生息するとみられる。徳島県鳴門市では、レンコンの新芽を食害して減収した被害が報告されている。また、静岡県や愛知県では、稲の食害が確認されている。農業被害が認知されたのは最近で、多くの人が駆除方法を知らない。
マニュアルは、駆除の手順を、①駆除計画の策定②準備③捕獲作業④効果の検証――に分けて解説した。水中での特殊なかごわなの設置や捕獲率を高めるこつなどをイラストで示した。捕獲作業の成果や、捕獲作業をやめるタイミングを考えるためにも、捕獲記録を付けることが重要とした。
このマニュアルは、詳細な「アカミミガメ防除の手引き」をコンパクトにまとめたもの。マニュアル、手引とも環境省のホームページで公開している。
アカミミガメは、北米などに分布する亀で、ミドリガメとも呼ぶ。ペットとして輸入したものが逃げて繁殖し、国内に800万匹が生息するとみられる。徳島県鳴門市では、レンコンの新芽を食害して減収した被害が報告されている。また、静岡県や愛知県では、稲の食害が確認されている。農業被害が認知されたのは最近で、多くの人が駆除方法を知らない。
マニュアルは、駆除の手順を、①駆除計画の策定②準備③捕獲作業④効果の検証――に分けて解説した。水中での特殊なかごわなの設置や捕獲率を高めるこつなどをイラストで示した。捕獲作業の成果や、捕獲作業をやめるタイミングを考えるためにも、捕獲記録を付けることが重要とした。
このマニュアルは、詳細な「アカミミガメ防除の手引き」をコンパクトにまとめたもの。マニュアル、手引とも環境省のホームページで公開している。
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2019年11月22日
[未来人材] 25歳。 ブドウ農園借り就農、SNSで活発に情報発信 直売PR 数々の工夫 原田勇さん 愛知県みよし市
「みよし市のブドウといえば『いさむ農園』と言ってもらえるようになりたい」と語るのは愛知県みよし市の原田勇さん(25)。情報発信に力を入れ、インターネットを駆使。さまざまな方法で農園をPRしている。周辺では離農する農家が増える中、市内のブドウ農家のホープだ。
高校を卒業した後、コンピューターの専門学校に2年通い、就職先の幅を広げるため大学の商学部に編入した。転機となったのは、水稲の兼業農家だった父親がサラリーマンを辞めて、白ネギ栽培を始めたことだった。
父は趣味程度だったものの「勉強して真剣に農業をやれば専業でできるのではないか」と感じたという。栽培品目を検討している時に、離農するブドウ農園を知り、約30アールの園地や農機具倉庫などを借りられたことが就農を後押しした。
大学卒業後、1年間は農業大学校に通いながらブドウ農家で研修を受け、自園の管理をする日々を過ごした。その中で「食べる人の顔を見て販売したい」という思いが膨らんだ。2018年5月に自身の名前から取った「いさむ農園」を開園。直売を実現するため、力を入れているのが情報発信だ。「知ってもらわなければ来てもらえない」と、農園を紹介するホームページ(HP)を自作し、ロゴマークもオリジナルだ。
日々の作業風景や販売情報はインターネット交流サイト(SNS)の「インスタグラム」を使い、随時更新する。17年から始め、フォロワーは4400人超。近隣住民が来てくれるよう、投稿には必ず周辺市のキーワードを入れるなど工夫する。農機具倉庫に併設した直売所には、投稿を見て来る人が増えた。
今年は初めてインスタグラムを通じて農作業ボランティアを募集。近隣に住む20~40代の男女4人が集まり、「見ず知らずの人が来てくれ、思いも寄らなかった」と驚いたという。来年は自らデザインした包装袋で販売する。透明な包装袋が多い中、裏面を茶色にし、ロゴとHPなどにつながる2次元コード(QRコード)を入れた。
地域の担い手が減り、園地を任せてくれる人も現れた。園地が90アールに広がる中、自分らしい経営を追い求める。
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2019年11月24日
全国JA調査 バケツ稲で地域と密着
小学生らがバケツで稲の栽培体験をするJAグループの「バケツ稲作り」で、取り組むJAの7割が、地域社会とつながりが深まったと実感していることが、JA全中が25日に発表したアンケート結果で分かった。JA祭りに児童が参加したり、給食に地元産米が使われたりと、目に見える効果につながっていた。全中は事例を全国のJAに発信し、JAファンづくりにつなげたい考えだ。
調査は8、9月、JAや都道府県中央会にメールで実施。231組織から回答があった。
地域社会とのつながりの深まりについて聞く問いには、配布しているJAの68・6%が「深まった」と回答。「農家になりたいという声があり、担い手育成につながった」「農業祭りに子どもたちの来場が増えた」「学校行事に招待される」「給食での地場産米の供給につながった」などの声があった。
バケツ稲を配るJAの中で、55%が栽培指導(出前授業)もする。うち7割をJA職員が行い、農家組合員(15%)、青壮年部・女性部員(15%)と続いた。自由記述では、講師を務めたJA職員や農家らが、子どもたちと接点が生まれたことを実感する声があった。
全中広報課は「JAが自己改革を進める中、地域とのつながりづくりの意義は大きい。アンケートを生かし、優良事例のヒントをJAに発信していきたい」としている。
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2019年11月26日
だだちゃ豆、庄内柿、砂丘メロンと特産品を上げたら切りがない。うらやまれるほどの食文化に恵まれた
だだちゃ豆、庄内柿、砂丘メロンと特産品を上げたら切りがない。うらやまれるほどの食文化に恵まれた▼義経弁慶の主従が上り、芭蕉や西郷隆盛が下った最上川が育んだ山形県の庄内地方である。江戸時代には、酒田港から上方、江戸へと至る西回り航路で米や紅花などの特産品が運ばれた▼いつ訪れても料理がうまい。「どんがら汁」は地元みんなの自慢である。一年で最も寒い時に日本海でとれた寒ダラをぶつ切りにしてみそ仕立てで味わう。農家はいろりを囲み身も心も温めた。編集者だった伊藤珍太郎さんが残した名文『庄内の味』に、「禁じかねる喜びは、吹雪く地に住まう人々のみに許された特権である」とある▼この料理を食って育ったであろう維新の志士清河八郎のきょうが生誕の日。庄内藩の関所が置かれた清川村(現庄内町清川)に生まれた。知名度は坂本龍馬らに後れを取るが、新選組につながる浪士組を作り、一部を朝廷方の軍隊に組み入れる離れ業をやってのけた。時勢一変を形容する「回天」のさきがけ。東京・文京区の伝通院に、妻お蓮と共に眠る▼きょうは「和食の日」。激動の幕末を駆け抜けた志士に思いをはせ、郷土料理を味わうのもいい。白鳥が落ち穂をついばむ豊かな穀倉地帯は、間もなく白い雪に覆われる。
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2019年11月24日
世襲より人物本位 “伴走” 期間経て 経営・信頼つなぐ
米や大豆、麦などを栽培する土地利用型の農事組合法人や大規模農家が、地縁や血縁のない従業員や若者らに経営をバトンタッチする第三者経営継承に取り組むケースが出てきた。農機など有形資産だけでなく、地権者の信頼も継承。経営主が後継者に経営ノウハウを伝える伴走期間を経て、次世代の担い手確保に対応する。
土地利用型の第三者継承
富山県砺波市の農事組合法人「ガイアとなみ」。同市若林地区を中心に130ヘクタールで米や大豆、麦などを栽培する。2年前、組合長は同地区の紫藤康二さん(70)から、地縁や血縁のない従業員だった中島一利さん(43)になった。
同法人は、地区の二つの営農組織が合併して1995年に法人化した。稲作に興味のあった中島さんが就職したのは2000年。ハローワークで求人を知り、近隣の射水市から通勤してきた。当初、中島さんも紫藤さんも後継者候補という意識はなかった。
紫藤さんは60歳ごろから継承を考え始めたが、法人の構成農家の身内には希望者がいなかった。次第に、人柄が信頼でき勉強熱心な中島さんに継承したいと考えるようになった。他の役員と話し合い、「世襲でなく、若く意欲のある中島さんに後を継いでほしい」との思いを長年伝え続けた。
作業計画の立案など責任ある仕事を意識的に任せられた中島さんは、組合長になることを見据えて、12年に法人に出資して役員となった。「土地に縁のなかった自分が後を継いでよいのか悩み、即決できなかった。ただ、地域の財産である農地をつなぎたいという気持ちはあった」と中島さん。5年かけて準備し、組合長に就任した。
資産は全て法人所有で、手続きは組合長の名義変更だけで完了した。地権者には段階的に丁寧に説明し、反対する人はいなかった。
現在、役員3人全員が同地区以外の出身で、中島さんは今も通勤しながら組合長を務める。同法人は役員、従業員の平均年齢が30代。イチゴ経営を始めるなど新品目にも挑戦する。中島さんは「土地利用型は地域を守る意味があり、存続が地域問題に直結する。自分も次の継承を見据えて経営する」と強調。紫藤さんは「経営ノウハウや思い、悩みも共有し、信頼を築けたので第三者継承が実現できた」と考える。
地縁・血縁超え
新潟県村上市で米など66ヘクタールを経営する農業生産法人「神林カントリー農園」では3年前、前社長とは血縁関係のない吉村敏秀さん(55)が代表を引き継いだ。吉村さんは「従業員として30年以上働いた長い準備期間があった。経営を継承するのに、血縁は特に関係なかった」と話す。
埼玉県熊谷市で25ヘクタールで米麦などを栽培していた掛川久敬さん(74)は今年1月、知人に紹介されて手伝いに来た20代の若者に経営のバトンを渡した。掛川さんが3年間、農業技術などをみっちり伝授。農機などは減価償却で計算し、農地や作業場は賃借料を払ってもらう。掛川さんは「地権者には自分が責任を取ると了解してもらった。意見のずれはあっても、最終的に判断するのは経営者。若者の意欲を尊重したい」と見守る。
担い手確保へ多彩な手法を 東京農業大学の内山智裕教授の話
果樹や畜産に比べ、土地利用型は地権者との関係性を踏まえなければならず、第三者継承には難しさを伴う。ただ地域資源を守っていくためには、第三者を含め多様な形で土地利用型の後継者確保を考えなければならない。
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2019年11月25日
農政の新着記事
日米協定 農家規模問わず支援 肉用牛増頭手厚く
日米貿易協定の合意を受け、国内対策として政府が検討する総合的なTPP等関連政策大綱の改定案の概要が26日、分かった。農業対策では生産基盤の強化に向け、「規模の大小を問わず」に意欲ある農業者を支援する方針を明記。目玉事業となる肉用牛の「増頭奨励金」で飼養頭数が一定未満の農家の助成額を手厚くするなど、中小・家族経営に配慮する。
改定案では農業対策について、国内外の需要に応えるため、生産基盤を強化する必要性を指摘。従来の対策には大規模農家偏重との指摘もあったが、中小・家族経営が国内農家の多くを占めることを踏まえて見直す。棚田や中山間地域などの重要性も明記する。
「増頭奨励金」は、日米貿易協定で米国に牛肉を低関税で輸出できる枠が拡大したことを受け、肉用牛の繁殖雌牛を増やす農家などに助成する。飼養頭数が一定未満の農家には1頭当たり20万円以上を出す方向で調整。それ以上の規模の農家より助成額を手厚くする。
畜産クラスター事業で中小・家族経営の支援を拡充する方針も明記し、家畜排泄物の処理の円滑化対策も盛り込む。
麦や大豆などの増産を念頭に、堆肥の活用による全国的な土づくり運動も進める。スマート農業の活用は条件不利地も含めて強化する。中山間地域などでの優先採択枠を設定する方向だ。
農産物の輸出促進では日本貿易振興機構(ジェトロ)が事務局として中小企業の海外展開を支援する「新輸出大国コンソーシアム」と、JAなどとの連携を強化する方針。
大綱は12月上旬にも改定する。政府は2019年度補正予算に、国内農林水産業対策として3250億円程度を計上する方向で調整している。
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2019年11月27日
イノシシ経口ワクチン 空中散布12月から 群馬であす実証試験 山間部対策に期待
江藤拓農相は26日の閣議後会見で、豚コレラ(CSF)感染拡大防止のため、野生イノシシ向け経口ワクチンの空中散布を12月にも本格化させる方針を明らかにした。複数県にわたって豚コレラ発生地域を経口ワクチンで取り囲んでイノシシに接種させ、豚コレラウイルスが域外に拡散するのを防ぐ「経口ワクチンベルト」を構築する一環。28日の群馬県畜産試験場内での実証実験を踏まえて実行に移す。
野生イノシシ対策について江藤農相は、防護柵だけでは「移動を防ぐのは、なかなか難しい」との認識を示した。
ワクチンベルトは現在、地中にワクチンを埋める形で各地で構築を進めているが、山が急峻で人間が入ることができず、ワクチン埋設が難しい場所でもイノシシは容易に移動していくと指摘。ベルトの実効性を高めるため「切れ目がないよう、急峻な山にも散布しなければならない」と空中散布を重視した。
実証実験は、同試験場吾妻肉牛繁殖センターの敷地内の牧場で実施する。防衛省の協力を得て、自衛隊相馬原駐屯地(群馬県)所管のヘリコプターを使い、速度や高度、風向きなどを考慮し散布方法を確認する。
実験後に開始する空中散布の対象地域は、都道府県や市町村と意見交換しながら設定するとした。
また、日本、中国両政府が動物衛生検疫協定に署名し、中国への牛肉輸出再開が前進したことを受け、江藤農相は早期再開に期待を寄せた。具体的な再開時期について、個人的な考えとして、「(中国の)習近平国家主席が来日される。そういう一大イベントの時に開いたら素敵だと思う」と、来春の習氏来日に合わせた再開に意欲を示した。
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2019年11月27日
基本計画見直し 農地、人材減に危機感 原因分析求める声 農政審企画部会
国の農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の見直しに向け、農水省は26日、食料・農業・農村政策審議会企画部会を開いた。農地や農業就業者をどう確保するかに議論が集中。農地面積の減少が現行計画の見通しを大きく上回って進んでいることへの懸念や農地荒廃の原因分析を求める声が相次いだ。……
2019年11月27日
日米協定審議で参院委 農業議論深まらず
参院外交防衛委員会は26日、日米貿易協定の承認案の審議を続けた。野党側は自動車の追加関税回避や関税撤廃の根拠を問いただした一方、茂木敏充外相らは従来答弁を繰り返し、やりとりは平行線のまま。農業分野の質問も少なく、協定以外の質問も相次ぐなど、議論は深まりを欠いた。
自動車の追加関税について、日本政府は米国との首脳会談で回避を明確に確認していると説明してきた。立憲民主、国民民主などの共同会派の小西洋之氏は、首脳会談でトランプ米大統領がどういう言葉で追加関税を発動しないことを了承したのかをただした。
茂木外相は具体的なやりとりには触れず、「同盟関係にある日米の首脳間の合意で極めて重い。守られるものだと当然考えている」と述べた。
小西氏は、根拠となる文書ややりとりが示されていないことに、「具体的に証明するものが何もないのであれば、審議の前提を欠く」と批判。開示可能な内容を米国と調整した上で示すよう求めたが、その後も平行線の議論が続いた。
協定を巡っては、農産品でも、牛肉セーフガード(緊急輸入制限措置)が発動した場合の再協議や、国内農業に対するより精緻な影響試算など論点が多い。衆院では野党側から資料の要求も出ていた。ただ、この日の審議では農業分野の合意内容についての質問はわずかだった。
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2019年11月27日
衛生検疫協定に署名 牛肉対中輸出再開へ
日本と中国の両政府は25日、牛肉などの畜産物を輸出するために必要な動物衛生や検疫協定に署名した。日本産牛肉の対中輸出が再開する見通しになった。牛肉などを実際に輸出するには、検査体制や施設認定などの条件を詰める必要がある。中国内で拡大するアフリカ豚コレラ(ASF)を含め、家畜疾病に対する対策の強化も盛り込まれ、実効性のある対策の構築が今後の課題となる。
中国は、日本での牛海綿状脳症(BSE)発生後、日本産牛肉の輸入を禁止。解禁に向けて、同協定の整備を要求していた。協定への署名は、茂木敏充外相が同日、中国の王毅外相と東京都内で会談後に開いた共同記者発表で明らかにした。
茂木外相は「日本産牛肉の輸入再開に向けて、手続きの加速化を期待する」と強調。同日の外相会談でも日本側は、手続きの早期実施を強く求めた。ただ、王氏は共同発表の場で、輸入解禁について言及しなかった。
協定には、国境を越えた動物疾病の情報共有など両政府の協力を強化することが盛り込まれた。日本政府は、アフリカ豚コレラ対策も念頭に置く。空港などの検疫で、肉や肉製品などの持ち込みが見つかった場合、政府に通報するとした。
外相会談では、中国が東日本大震災後に設けた輸入規制の即時撤廃や米の輸入拡大も求めた。中国は東日本大震災後、宮城や福島など9県の全食品などの輸入を停止にした。米は、中国が認可した登録施設からの輸出ができるようになった。
安倍晋三首相は同日、王氏と首相官邸で会談。食品輸入規制について、中国側の前向きな対応を重ねて求めた。
日本と中国、韓国による自由貿易協定(FTA)の交渉加速、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の妥結についても議題になった。
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2019年11月26日
牛肉SGに不安 実効性どう確保 国内対策 手厚く 日米協定説明会で意見続々
日米貿易協定の国会審議が進む中、農水省が全国各地で開いた農家や農業関係者らを対象にした説明会では、牛肉の輸入急増を抑えるためのセーフガード(緊急輸入制限措置=SG)の実効性をどう確保するのかに関心が集まった。政府が年内に決める新たな国内対策を巡り、中小規模や家族経営に目を配った支援策を求める意見も相次いだ。26日以降の参院での審議でも論点になりそうだ。
同省は協定の最終合意以降、10月から全国19カ所で説明会を開催。JA、自治体の農政担当者、農家らが参加した。
参加者の関心が集まったテーマの一つは、牛肉SGの見直しだ。米国向けのSGが発動した場合、基準引き上げの協議を始める規定に対し詳細な説明を求める声が多く、「協議によって(発動基準)数量が増えるかもしれないと感じる」(愛知県担当者)との意見も出た。
同省は「協議を行うまでが義務」とし、引き上げは約束ではないと説明。農産品の再協議規定は「協議に応じる義務が課されているわけではない」と強調した。
米国抜きで発効した環太平洋連携協定(TPP)では発動基準数量が見直されず、日米貿易協定のSGと併存する。低関税で輸入できる量がTPPを超えるため、政府は23年度から、TPP加盟国と米国の輸入量の合計で、TPPのSGが発動する仕組みへの移行を目指す。
だが、説明会では「オーストラリアが受け入れないのではないか」(徳島県担当者)とSG見直しの実現を疑問視する意見が出た。
同省は「米国を受け入れる価値観で(発動基準が)作られており、オーストラリアと共有できる」とし、見直しは可能との認識を示した。
政府は年内に国内対策の指針となるTPP等政策大綱を改定、対策予算を含む経済対策をまとめる。説明会では、国内対策の方向性として「畜産クラスター事業の要件を緩和してほしい」(北海道十勝地方の酪農家)、「競争力強化や輸出対策も基盤強化が大切。中小(規模)への対応も必要だ」(徳島県担当者)などの要望が出た。
同省は「対策は大規模化に特化するものではない」「実効性のある使い勝手の良い対策にしたい」などと述べ、生産基盤の強化を重視する考えを示した。
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2019年11月24日
輸出1兆円困難 果実、植木落ち込む 農林水産物
政府が今年目指す農林水産物輸出額1兆円目標の達成が、困難な情勢になった。菅義偉官房長官は22日の会見で、目標達成の見込みについて「なかなか難しい状況にあることは事実だ」と述べた。水産物の不漁に加え、農産物も果実や花きなどが落ち込んだ他、他国産との競合が激化している品目もある。中国など潜在的な輸出需要が大きい市場の輸出規制の撤廃が課題となる。
政府は農林水産業の成長産業化路線を進め、農林水産物の輸出強化を掲げている。その中で、菅長官の発言は今年の輸出の伸び悩みを踏まえたものとみられる。
農林水産物・食品の輸出額は近年は堅調なペースで伸び、18年は前年を12・4%上回る9068億円に上った。
しかし、今年に入り伸びが鈍化し、1~9月の輸出額は6645億円と前年同期比1・6%増にとどまっている。目標達成には前年(9068億円)から通年で10%以上上回る必要があるが、現状の伸びはわずかだ。
輸出の内訳を見ると、農産物が4273億円で6%増。牛肉、米、日本酒などで伸びたが、リンゴ、イチゴなどの果実が落ち込んだ。輸出業者によると「イチゴは他国産などとの競合が激化している」という。
近年急拡大していた植木も、急ブレーキがかかった。主力のベトナム向けは中国に転送されるケースが多いが、「検疫面で影響が出ている可能性がある」(輸出業者)という。
輸出拡大には、輸出規制の撤廃が不可欠だが、主要輸出先の多くは東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた規制を続ける。動植物検疫などの規制も残る。今国会で成立した輸出促進法では、農水省に輸出本部を設け、政府の司令塔組織として相手国との交渉を一元化し、各省庁に分かれていた手続きを統括。輸出施設の認定手続きの迅速化を目指す。
日本貿易振興機構(ジェトロ)は「需要の伸びしろが大きい中国などでの原発事故による規制の撤廃がまず必要。大口の需要に応えるために国内でまとまった量を輸出する供給体制整備も求められる」(農林水産・食品部)としている。
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2019年11月23日
日米協定受け補正予算 農水国内対策3250億円
政府・与党は21日、2019年度補正予算で、日米貿易協定や環太平洋連携協定(TPP)を踏まえた国内農林水産業対策として、3250億円程度を計上する方向で調整に入った。18年度補正予算の規模を60億円程度上回る。日米協定の合意を受け、農林漁業者の不安を和らげる必要があると判断した。
生産現場からの要望が強い畜産クラスター事業には400億円程度を計上し、中小規模・家族経営の農家が使いやすいよう、補助要件を緩和する。酪農の増頭・増産対策を新設し、240億円程度を盛り込む。両事業を合計すると、18年度補正予算の畜産クラスター事業を90億円程度上回る計算だ。国産チーズ対策は、18年度補正と同程度の約150億円とする。
産地パワーアップ事業には350億円程度を計上し、経営規模などに応じて補助要件を緩和する方向で調整している。農業農村整備(土地改良)事業には、18年度補正予算と同規模の950億円程度を盛り込む。
他に農業関係では、国産農産物の輸出拡大や、スマート農業の推進に向けた対策などを盛り込む。農業関係の合計は、2600億円を上回る規模となる。
林業では、国産の合板や製材、集成材の競争力強化対策などに360億円程度を盛り込む。水産業対策は270億円程度とする方向だ。
政府は、TPPや日米貿易協定などの国内対策の指針となるTPP等関連政策大綱を12月上旬にも改定する。補正予算案も12月上旬にまとめる。
TPP合意後、政府は15~18年度の補正予算で、農林水産分野の国内対策費として毎年3000億円超を計上。計1兆2934億円を講じている。
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2019年11月22日
日米交渉で米国公聴会 「米、乳製品さらに開放を」
米議会下院は20日(日本時間21日)、日米貿易協定に関する公聴会をワシントンで開いた。農業団体などの出席者や議員は、牛肉や豚肉で環太平洋連携協定(TPP)並みに関税を引き下げることを評価しつつ、米や乳製品の市場開放が不十分だと指摘。追加交渉の対象にするよう求める声が相次いだ。関税以外も含めた包括的な協定を求める意見も目立った。
下院歳入委員会の貿易小委員会が公聴会の場となり、農業、自動車の団体やシンクタンクなどの代表者らが出席。同委員会は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表ら交渉担当者にも出席を要請したが、応じなかった。
TPPでは、日本は米に米国向け輸入枠を、バター・脱脂粉乳は米国を含む加盟国全体向けの輸入枠(ワイド枠)をそれぞれ設けた。だが日米協定では、これらは設定しなかった。
一方、協定の合意に伴い、日米両首脳が9月に署名した共同声明では、協定の発効後、4カ月以内に予備協議を終え、追加交渉の範囲を決める方針を示した。
オバマ政権でTPP交渉のUSTR首席農業交渉官を務めたベッター氏は「協定は全ての農産品をカバーできていない」と指摘。米やバター、脱脂粉乳などの市場開放を改めて求めた。
米国最大の農業団体、ファーム・ビューロー幹部のボーニング氏も一層の市場開放への期待を表明。「(日米交渉で)米国が勝利したのは明らかだが、第2段階の交渉を追求すべきだ」と訴えた。
全米自動車連盟(UAW)の幹部は、日本産自動車の対米輸出に有利になる通貨安誘導を防ぐ為替条項が含まれなかったことに不満を表明。輸入台数制限にも言及した。
ライトハイザー代表らが出席しなかったことも踏まえ、交渉を巡る手続きについて議会との調整不足を批判する声も相次いだ。日米協定でトランプ政権は大統領の権限で可能な関税削減・撤廃にとどめ、議会承認を経ずに来年1月1日発効を目指している。
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2019年11月22日
平成の大合併しなかった自治体 元気 隣接旧町村と比較 日弁連調査
日本弁護士連合会(日弁連)は11月、人口4000人未満の「平成の大合併」で合併しなかった自治体と合併した自治体を比較し、人口減少率が低いなど非合併自治体が“元気”であるとの調査結果を公表した。高齢化率の進捗(しんちょく)も抑えられ、財政の健全化も進んでいた。日弁連は「非合併の小規模自治体では公務員数が激減せず、農業など産業面でも個性を生かした地域づくりを展開している」と分析する。
高齢化抑え財政健全に
日弁連の弁護士らは、地方自治制度などを研究し昨年春から20人の弁護士らが「空き家、地域再生プロジェクトチーム」を結成して農山村を調査。「合併しなければ小さな自治体は立ち行かなくなる」として進められてきた、平成の大合併の効果や弊害などを検証した。
調査では、2000年時点で4000人未満の小規模な町村と、産業構造が似ていて隣接する合併旧町村の組み合わせを47組作り、原則05年から15年にかけた人口変化や高齢化の進捗(しんちょく)などを比較した。例えば、北海道新篠津村、岡山県西粟倉村、高知県大川村と、合併した近隣自治体を比べた。
その結果、非合併町村は合併旧町村に比べ、人口減少率は47組中43組、高齢化の進捗率は47組中41組で低かった。また、47の非合併町村の財政指標を調査。05年度に合計518億円だった積立金は15年度に2倍近い1010億円に増え、実質収支比率も41町村で上昇するなど、財政の健全化が図られていた。
日弁連は、非合併町村では役場機能が保たれ、公務員数が大きく減っていないことが背景にあると指摘。「非合併自治体は地域住民と役場職員の顔が見える関係が築かれ、地域の個性が発揮しやすい」と分析している。
住民と行政が連携
日弁連は全国各地の現場調査もした。合併しなかった長野県生坂村の農業公社代表、岩間陽子さん(68)は「合併しなかったことで住民の声が予算に反映させやすい面はあった」と指摘。「住民と行政が“協働のむらづくり”をしてきて、村ぐるみで(農水省の)多面的機能支払交付事業で共同作業をし、集落営農も活発になっている」と話す。不安はあるが、合併しないという選択で地域住民に自主性が芽生えたと感じているという。
一方、合併した町の元助役で現自治会会長(73)は「当時は国から地方交付税を減らすと言われて、危機感が強かった。今になってみると合併してよかったと言う町民はいない。ただ、他の地域との比較で一喜一憂するのではなく、自分たちの地域づくりを頑張るしかない」と話す。
地域の個性 尊重を
「空き家、地域再生プロジェクトチーム」リーダーの小島延夫弁護士の話
今回の調査は比較により小規模自治体同士に優劣を付けることが目的ではない。ただ、調査結果からは、合併しなかった自治体で、当初予想されたような地域の衰退は見られないことが浮き彫りになった。
総務省は昨年、複数市町村で構成する「圏域」を新たな行政とする構想を発表しているが、そうした構想を打ち出す前に、平成の大合併の検証が求められる。
地域の枠組みを考えるとき、地域の文化や歴史、農業などの産業といった個性を尊重した上で検討しなければならない。「合併しなければ生き残れない」といった強引に危機感をあおる手法は、地域の誇りを奪うものだ。
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2019年11月22日
