対日貿易交渉で米国 早期発効へ手法検討 大統領権限で議会通さず

茂木敏充経済再生担当相(左)を迎えるライトハイザー米通商代表部代表(21日、米ワシントンで)

 日米貿易協定交渉を巡り、米国内で、議会承認を得ずに早期発効させる手法に注目が集まっている。大統領の権限で相手国に課す関税を自ら削減・撤廃できる仕組みを対日交渉に適用し、議会での審議を省略するという手法だ。トランプ米政権が目指す早期成果への期待が背景にあるが、米国側が削減できる品目は限られるとみられる。日本側にとって対等な協定につながるかは不透明だ。

 トランプ大統領は来年11月の大統領再選に向け、農産品を中心に日米交渉の早期の成果を求めている。成果を焦るトランプ政権にとって、合意後のハードルとなるのが議会審議だ。

 貿易協定締結の手続きを定めた大統領貿易促進権限(TPA)法は、締結の意思を署名90日前までに議会に通知し、60日前までに協定の内容を公表するよう政府に義務付ける。署名後も協定の影響評価などを経て議会にかけるなど、合意から締結までの期間と手続きを十分にとっている。

 現在、米議会は上下院の多数派が異なる「ねじれ」状態で、与野党対立は深刻だ。そうした中、議会審議を省くために浮上してきたのが大統領の権限を使った「ミニディール(小規模取引)」案だ。

 米国の通商法には、関税5%未満の品目で大統領権限で削減・撤廃できるなど、自ら市場開放できる仕組みがある。これを活用して市場開放した上、議会審議をしないことで早期の成果につながるという算段だ。米紙や米国の通商専門家などがこうした交渉のメリットを指摘している。

 ただ、この手法が実現した場合、双方の市場開放が釣り合うかどうか、課題が大きい。大統領権限を行使できる品目は関税率以外にも条件があり、大幅な市場開放にはつながらないとみられるためだ。

 日本側はこれまで、農産品の市場開放は、米国の工業製品などとセットで行うことを前提としてきた。大統領権限に基づくミニディールを含め、米国側が農産品の早期市場開放を強く求めてきた際、日本側がどこまで毅然(きぜん)と対応できるかが課題となる。 

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