日米交渉 農産品 詰めの協議 牛肉SG基準が焦点

 【ワシントン岡信吾】日米両政府は21日(日本時間22日)、当地で貿易協定交渉の閣僚協議を始めた。9月下旬の合意を視野に、牛肉など農産品の重要品目や、自動車の扱いで詰めの協議に入った。茂木敏充経済再生担当相は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との協議後、交渉について「大詰めを迎えつつある」との認識を示しており、交渉は重要な局面に入った。

 閣僚協議は4月の交渉開始後7回目。初日の協議は約5時間に及んだ。協議は22日(同23日)も開き、事務レベルと閣僚級で交渉を重ねる方針。23日(同24日)まで延長する可能性もある。

 農産品では、米国の関心が強い牛肉について、セーフガード(緊急輸入制限措置=SG)発動基準をどう設定するかが焦点。米国を除く環太平洋連携協定(TPP11)では、米国からの輸入量も踏まえた元の協定の発動水準を見直していない。

 TPPで加盟国全体向けの「ワイド枠」を設けた乳製品など33品目の扱いも課題だ。米国は日米協定でも輸入枠を求めているが、譲歩すればTPP超えとなるため日本側は難色を示す。

 米国が重要品目に掲げる自動車の扱いも難航しているとみられる。TPPでは関税撤廃で合意しているが、国内の製造業復活を掲げて保護を強化するトランプ政権は難色を示している。

 茂木担当相は「閣僚間で詰めるべき課題も相当に絞られている」と交渉の進展を強調した一方、「まだ埋めなければいけない溝がある」と述べ、合意に向けた課題が大きいことも指摘した。

 日米は9月下旬に見込まれる日米首脳会談で一定の合意を目指すことで一致。24日からフランス・ビアリッツで開かれる先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)に合わせた首脳会談で合意への道筋を示す可能性がある。
 

<解説> 攻防は激しさ増す


 日米貿易協定交渉は、初日から過去最長の5時間という閣僚協議で、大きなヤマ場に入った。初日の協議終了後、茂木敏充経済再生担当相は「残された課題は絞られてきた」と認識を示したが、日米が合意を意識するほど攻防は激しさを増す見通しだ。

 農産品の交渉を巡り、日本は昨年9月の日米共同声明に基づき、TPPを念頭に「過去の経済連携協定の内容が最大限」(安倍晋三首相)との姿勢を維持してきた。

 交渉の大きな焦点は、米国が離脱したTPPとの関係だ。牛肉のSG発動基準や、加盟国全体で共有する「ワイド枠」は、米国を含む数量のままだ。日米交渉で発動基準や枠を新設すればTPP11を見直さない限り、事実上、TPP水準を超える。

 茂木担当相は具体的な分野、品目の進捗(しんちょく)状況は明らかにしなかったが、「まだ埋めなければいけない溝がある」と厳しい攻防が続いていることを示唆した。日米は8、9月に相次いで首脳会談を想定しており、交渉の重要局面が続く。

 日本政府には、TPPの内容が最大限としてきた政府・与党の方針を貫くことができるかが問われている。 
 

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