対米貿易交渉で日本政府 議論深めず署名か「合意」避け 情報開示なし

 【ビアリッツ(フランス)岡信吾】日米両政府は貿易協定に大枠合意し、9月の署名を目指すことで一致した。ただ、いまだに内容は示されず、日本政府は「合意」の表現をかたくなに避け、情報開示を拒む姿勢が鮮明だ。合意から署名の期間も過去の大型協定と比べ異例の短さとなる可能性がある。情報開示が遅れ、国民的議論が乏しいまま署名に至るのかどうか。日本政府の姿勢が問われている。

 日米首脳会談では、米ワシントンでの閣僚級協議を踏まえ、協定に大枠で合意。ただ、茂木敏充経済再生担当相は、「方向性の共有」「意見の一致」といった表現を使い、かたくなに「合意」という言葉を避けている。

 その上で「内容については合意された段階で公表する」と強調。「合意」ではないとの認識を理由に、現時点では交渉結果の情報を明かさない方針を崩していない。

 菅義偉官房長官は26日の記者会見で、日本からの自動車の関税撤廃が先送りとなり、米国に押し切られたのではないかとの質問に「昨年9月の日米共同声明に沿って関係閣僚で一致したわけで、その指摘は全く当たらない」と反論した。ただ、具体的な内容には踏み込まなかった。

 米国を含む12カ国による環太平洋連携協定(TPP)は、2015年10月に大筋合意した後、合意内容を公表。16年2月に署名した。欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)は、17年7月に主要分野で決着した段階で「大枠合意」し、農産品、自動車などの合意内容もすぐに発表した。その後、12月に妥結し、翌年7月に署名した。両協定とも、署名までの間、開示された内容を踏まえて、国会でも議論された。

 茂木担当相は、前回の閣僚協議が「最後」と明言している。そのため、9月の国連総会の直前に「合意」し、公表する日程が有力。署名までに国会の議論も一切ない恐れもある。

 こうした姿勢を野党側は「内容を明かさないまま合意に突き進むのは極めて不誠実だ」(幹部)と強く批判する。

 詳細な情報が示されない中、農産品の市場開放はTPPが最大限とする政府の方針が「本当に守られているのか」(野党農林議員)との懸念が広がる。閉会中審査を開き、交渉結果を明らかにするよう政府・与党に求める考えだ。
 

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