[あんぐる] 里山の営み 美の宝庫 中之条ビエンナーレ(群馬県中之条町)

蚕の成虫や幼虫を描いた布で古民家を飾り、養蚕が盛んだった町の歴史を表現した中之条ビエンナーレの展示作品「GHOST」(群馬県中之条町で)

 群馬県中之条町の山深い農村が2年に1度、現代美術の芸術祭「中之条ビエンナーレ」で活気づく。7回目の今年は古民家や農業用倉庫など50カ所が作品の展示空間に姿を変え、多くの見物客が足を運んでいる。

 地元住民らでつくる実行委員会や町などが主催し、芸術での町おこしを目的に2007年から隔年で開いている。今年は8月24日に開幕した。

 会期中、立体造形や絵画などさまざまな作品が集落や温泉街、公園など、あちこちに現れる。英国やポーランド、タイなど海外の作家も含む150組が町内に滞在して手掛けたものだ。地域の歴史を踏まえた作品が多い。

 見物客はパンフレットの地図を頼りに作品を探し、現代美術と農村風景が醸し出す独特の雰囲気を楽しむ。

 
森にある巨大な自然石を心臓に見立てた作品「赭(まそほ)の鼓動」


 開催のきっかけは、町内の廃校に設けられた「伊参共同アトリエ」で活動する芸術家が「地元の人に作品を見てもらいたい」と発想し、町に提案したことだった。

 総合ディレクターを務めるデザイナーの山重徹夫さん(44)は「野菜を差し入れしてくれるなど、地域の皆さんが親切で温かい」と話し、「何百年もたつ建物や土地の雰囲気が刺激になり、都会では作れない作品が生まれる」と、この町が創作活動に向く理由を説く。

 地域住民の支えもあり、初回に延べ4万8000人だった来場者は、17年に10倍近い同46万人に増加。町の一大イベントに育った。

 ボランティアで受付を手伝う地元農家、柏原裕行さん(72)は「都会から来た人との交流が楽しみ。ビエンナーレで町全体が活気づいた」と感じている。開催は9月23日まで。(富永健太郎)

「あんぐる」の写真(全5枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます

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