九州北部豪雨1週間 爪痕あらわ農家悲痛 水稲、大豆浸水広範に 佐賀

豪雨で変わり果てたハウスを見渡す浦郷さん(3日、佐賀県武雄市で)

施設倒壊で収穫困難 


 九州北部を襲った豪雨から4日で1週間。家屋や農地に残った水が引き、被害が明らかになってきた。最も被害が大きかった佐賀県では、水稲と大豆でそれぞれ数千ヘクタールが浸水、冠水した。園芸品目ではアスパラガスのハウスが312件浸水した。流出した工業用油は懸命に回収作業をしており、被害は一部にとどまる見込み。JA関係者は、実態から離れた風評被害が拡散しないよう冷静な対応を訴えている。

 同県武雄市のアスパラガス農家、浦郷敏郎さん(66)は自宅前のハウスが水に漬かった。4棟が倒壊し、復旧は手つかずのままだ。鉄骨の隙間からはアスパラガスがのぞくが、収穫は難しい。被害に気付いたのは8月28日の未明。自宅を飛び出し、懐中電灯でハウスの方向を照らすと屋根の一部だけが急流から顔を出していた。

 1週間がたっても浦郷さんは被害を受け止めきれない。「毎日、目が覚めて壊れたハウスを見るたびに、あぁ、と声が出る」と悲嘆する。妻と娘はあまりの被害に「お父さん、もうやめよう」と離農を口にするが、浦郷さんは「悩んでいるが、何とかハウスを再建したい」と話す。アスパラガスを収穫できない間は、地域の機械利用組合でコンバインのオペレーターを務めながら、営農再開できる日を待つという。
 

油流出は一部


 水が引いても残り続けているのが、佐賀鉄工所から流れ出た油だ。3日も自衛隊員らが吸着シートで水田に浮いた油を吸い出す作業を続けた。広がった地域は約50ヘクタール。報道の過熱で「実際より広範囲に流出したとの誤解が広まっている」と農家は心配する。県によると、現場から約10キロ離れた観光地、武雄温泉街ではキャンセルが相次ぐ。

 こうした事態を受け、JA佐賀中央会は県に風評被害防止対策を要請。県産農産物の流通に影響が出ないよう、手を尽くしている。同中央会によると、3日午後4時現在で、JAさが管内は水稲8645ヘクタール、大豆4839ヘクタールが浸水・冠水したという報告がある。水に漬かった時間が短かった場所もあり、全ての農地に影響が出るわけではないが、収量が下がる所もあるという。

 JAからつ、JA伊万里管内でも小ネギやアスパラガスのハウス数件で冠水があった。 
 

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