北海道地震1年 道内全JA調査 8割超 停電で新対策 発電機整備 酪農家の導入推進

自家発電機を点検するJA職員(4日、北海道標津町で)

 北海道地震に伴う大規模停電で道内全295万戸が影響を受けた。本紙は停電対策などで全道108JAに質問し、4日までに92JAから回答を得た。

 北海道地震前後の停電対策(複数回答)を尋ねたところ、地震後に対策に乗り出したJAは77(84%)。このうち「対策をとった」は58(同63%)、「準備中の対策がある」は43(同47%)。また「地震前からしていた対策がある」が38(同41%)あった。

 具体策では、JA施設への発電機導入や災害用物資の充実、酪農家らが使う発電機の導入推進が多かった。国の事業を活用し、運営するガソリンスタンドに発電機を整備したJAも目立った。

 根室地方のJA標津は、事務所のパソコンやコピー機などの事務機器の一部を稼働させる自家発電機を導入。緊急時でも地理や組合員情報などの引き出し、緊急情報の集約や処理などができると見込む。Aマートへの設置も予定し、冷凍庫の食品ロスを防げる体制も築く。管内は震災発生から3日間停電した。JAは「パソコンなどが使えず、組合員への情報発信に支障が出た。今後は大雪や断水対策も検討したい」と強調する。

 防災用品を充実させる動きもあった。オホーツク地方のJAオホーツク網走は、携帯電話の電源確保に向け、携帯用モバイルバッテリーを776戸の組合員全戸と職員全員に配った。JA斜里町は飲料の備蓄量を増加。冬季の災害に備え、灯油式のストーブなどを新たに購入した。

 

大規模停電 電動式扉が盲点 防災意識高まる 北海道全JA調査 


 アンケートでは、大規模停電で生乳出荷が滞った酪農関係以外にも、農産物の選別や出荷、購買店舗などJA事業の幅広い分野に影響が出たことが明らかになった。

 停電からJA管内全域が復旧するまでには、大半のJAが1~2日強を要した。長いJAでは4日以上かかっていた。

 この間に特に困ったことを選択式で三つ挙げてもらったところ、「酪農・畜産を営む組合員への対応(自家発電支援、集送乳の調整など)」が67件と突出。「ATMの停止、窓口休止など信用・共済事業の障害」(36件)、「選果場の停止」(34件)と続いた。

 自由記述では、「ファクスやコピー機が使えず、組合員に戸別配布する文書を手書きし時間がかかった」(胆振地方のJA)など、電動の機器が使えず情報発信に支障が出たという声も複数あった。

 多くのJAで停電対策の盲点となっていたのが、JA事務所などの電動式扉だ。手動で開けられない構造だったり、手動に切り替える方法を周知していないなどで、駆け付けた役職員が施設に入れなかったJAが相次いだ。やむを得ず「ガラスを割って入った」という道北部のJAは、「電子錠の商品説明を知っておくべきだった」と振り返った。

 震災を機に防災意識も高まっている。従来の災害対策の強化に向けて、地震を機にBCP(事業継続計画)の策定を進める十勝地方JA幕別町は「冬季であれば事態はより深刻化する可能性もある。季節に合わせたBCPが必要だ」と強調する。

 既存のBCPを見直し、独自の災害対策マニュアルを作成する、宗谷地方JA北宗谷は「マニュアルを作って終わりではなく、必要に応じて更新し続ける必要がある。今後も災害対策を進めていく」と訴える。 
 
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