JA経営基盤強化 収支改善へ改革急ごう

 JAグループは年度内に、持続可能なJA経営基盤の確立・強化に向けた基本方針をまとめる。金融を巡る情勢は厳しい。総合事業を営む協同組合として地域でどんな役割を果たし、組合員ニーズを反映させるのか。危機感を持ってJAの経営を見つめ直し、課題と向き合う機会にしよう。

 メガバンク、地銀も含めて経営悪化の懸念は強い。低金利の長期化は金融機関に大きな打撃を与えている。メガバンクでも対策として、人員や店舗の大幅削減の計画を掲げる。日銀は、地銀の6割で10年後に純損益が赤字になるとの試算を示す。

 JAの経営は、経済事業の赤字と指導事業の費用を信用・共済事業の利益などで穴埋めして事業利益を確保する例が多い。このため、信用・共済事業の収益が縮小すれば、経営への打撃は他の金融機関以上となる。

 農林中央金庫は厳しい運用状況などを踏まえ、今年3月から、信連やJAからの預金に対する金利(奨励金)を引き下げた。今後も段階的に引き下げる。JAの収益源の一つで、JA経営への影響は大きい。

 こうした背景の中で、今年3月の第28回JA全国大会決議では、重点課題として、自己改革の継続に加え、JAの持続可能な経営基盤の確立・強化を掲げた。収支シミュレーションを踏まえた目標利益を設定することや、経済事業利益に目標値を設けることなどを盛り込んだ。

 決議では具体例として、販売事業を中心とした事業を伸ばすこと、全ての事業で効率化や生産性向上を進めることなどを掲げる。経済事業の収支改善では、事業効率化、物流合理化、施設の効率的運営などを例示する。

 金融店舗については、合理化が必要な場合の統廃合や効率的な推進体制の構築などに取り組むとしている。

 例えば販売事業の伸長は、JAグループが掲げる「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」にもつながる取り組みだ。自己改革の継続を通じて実現したい。一方で施設や店舗の統廃合は、組合員の利便性や組合員との接点をいかに確保していくかといった課題が出てくる。

 自己改革を進める中で培った対話を通じ、組合員の納得を得ながら進めることが必要だ。組合員自身もJAの経営と向き合う必要がある。IT技術を生かした店舗運営など、先端技術を活用して、組合員との接点を確保していく手法も考えられる。

 JAグループはここ数年、地域の課題に応じたさまざまな自己改革を実践し、成果を上げてきた。経営基盤強化もこうしたノウハウを生かし、JAごとの理念と現在置かれた環境を見つめ直すことから始めたい。その上で、具体的にどう収益を改善するのか。事業一つ一つを検証し、見直した上で地域農業振興や地域貢献に向けた青写真を描き、スピード感を持った改革を進めよう。
 

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