“酪農版ブラックアウト”とも称された

 “酪農版ブラックアウト”とも称された。行き場のない生乳をどう処理するのか。日本初の全道停電が襲った北海道胆振東部地震から、きょうで1年がたつ▼酪農家と乳業工場ともに被災し、停電が追い打ちを掛けた。年間で最も生乳需給が逼迫(ひっぱく)する時期と重なり、首都圏など大都市の飲用牛乳は大産地・北海道頼み。生乳は腐敗が早く冷却し品質を保持する。できなければ、酪農家は泣く泣く廃棄するしかない▼地元JAなどの迅速な対応でどうにか乗り切ったが、多くの教訓を残した。まず停電時も冷却できる自家発電の備え。大規模酪農家では完備している事例もあったが、よつ葉乳業を除き乳業側の生乳受け入れができなかった。現在、政策支援で酪農家段階の整備を進め、大手乳業も自家発電体制を急ぐ▼構造問題も改めて浮き彫りに。生乳生産の55%を北海道が占める。夏場の首都圏、関西圏など大都市の生乳不足は年々深刻さを増す。北海道から運ぶにしても物理的に限界がある。この時期は台風も相次ぎ、ホクレンの農畜産物タンカー就航も支障が出ている。地盤沈下が目立つ都府県酪農の生産基盤立て直しを急がねばならない▼今後10年の指針である新酪肉近論議も本格化する。昨年の教訓を踏まえた未来志向の政策づくりが欠かせない。
 

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