水産―障害者福祉―畜産 豚ブランド3者連携 神奈川県鎌倉市

乾燥した海藻を手にする矢野さん(左)と海藻を給与して生産した豚肉を示す臼井さん(神奈川県鎌倉市で)

海藻飼料加工施設に依頼 “うま味”自信あり


 水産―福祉―畜産が連携し、海岸に漂着する海藻を飼料にして新たなブランド豚肉を作る取り組みが、神奈川県鎌倉市で始まった。海藻の回収や飼料に配合しやすいように粉砕する作業は知的障害者が担う。海藻粉末を給与して育てた豚肉は脂の質が改善され、味に深みが出るという。関係者は「年末までには商品化したい」と、新しい特産開発を目指している。

 漂着する海藻を障害者の手を経て養豚と結び付けたのは、鎌倉市で料理教室を主宰する矢野ふき子さん(50)。県の6次産業化サポートセンターの企画推進員や鎌倉漁協の食品アドバイザーも務める。

 地元漁師から、海岸に打ち上げられる海藻の多くが、経費をかけてごみとして処分されていると聞いた。漂着する海藻は主にカジメ。食用にもなるのに、金をかけて処理されることに納得がいかなかった。

 畜産と結び付けられないかと考え、賛同者を探した。県の畜産技術センターから紹介されたのが、同県厚木市で母豚500頭の養豚を展開する臼井農産で、ミネラルの豊富な海藻飼料でおいしい豚肉の生産を狙う。

 海藻の回収、乾燥、粉砕を生活介護施設に依頼したのは「障害者のお小遣いになれば」という矢野さんの発想。健常者に同じ作業をしてもらうと委託料が高く、現実的でない。「生活介護の障害者なしではできない仕組み」だという。

 障害者側は鎌倉漁協から漂着海藻の回収許可を取得。漁協、障害者、養豚との水―福―畜の連携体制ができた。3者の連携で障害者が地元社会と結び付き、労働と収入機会を創出できた。「豚を育てて社会貢献ができた」と臼井欽一社長。「将来、経営の柱になってほしい」と期待する。

 肥育試験では出荷前45日間に海藻粉末を飼料の1%給与。脂が少ないが不飽和脂肪酸が多い肉ができた。「脂身がおいしい。最後にうま味が口の中に残る」と矢野さん。試食会でも「おいしい」「軟らかい」と好評だった。分析したところ脂肪融点は一般豚肉の42度に対し32度、不飽和脂肪酸の比率は一般豚肉の55%に対し62%になった。

 生産体制はほぼ固まったが、売り先は決まっていない。矢野さんは鎌倉市内に配送施設を造り、鎌倉ブランドで販売したいという。県の6次産業化認定を目指し、年内の販売を考えている。
 

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