雪国にいた頃は、早春に心躍ったが

 雪国にいた頃は、早春に心躍ったが、酷暑に耐える首都圏に移り住んでからは秋に心が和む▼きょうは二十四節気の白露(はくろ)である。秋分までの2週間ほどの期間は、大気が冷えて露を結ぶことが多い。朝夕の涼しさが進み、過ごしやすさが増す。手紙の書きだしには「白露の候」を使う。筆無精を返上し、久しく会っていない友人に便りを出すのも心を豊かにする▼白露を三つに分けると、初候は「草露白し」。〈くさのつゆしろし〉と読む。草に降りた露が白く光って見える様を表した。次候は「鶺鴒(せきれい)鳴く」。チッチッチッと鳴くこの小鳥は、歩く時に尾を上下に振りながら地面をたたくようにするしぐさから、石たたきとも呼ばれた。稲刈りをした後のあぜ道でよく見掛ける。末候は「玄鳥去る」。春に来たつばめが南国に帰る時季である▼あす9日は五節句の一つ「重陽(ちょうよう)の節句」。平安時代には宮中で菊を飾って観賞し、菊の花びらを浮かべた菊酒(きくざけ)を飲んで詩歌を詠み合った。なんという優雅さだろう。忙しさに追われる身が恨めしい。お年寄りの長寿を祝い、収穫に感謝を込めて栗ご飯などを味わうのもいい時季である。〈もてなしに栗焼くとて妹がやけど哉〉(子規)▼直売所には産地自慢が並び、食欲を呼び起こす。「天高く馬肥ゆる秋」である。

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