[未来人材] 35歳、33歳、30歳。3姉妹でUターン就農 会社設立し、新事業も 南保静香さん 藤澤ちひろさん 諸石光さん 富山県入善町

 立山連峰と日本海を臨む名水の町、富山県入善町。山々の合間から太陽が昇る特徴的なロゴデザインのユニフォームに身を包み、「農業は楽しい」と笑顔を輝かせる3姉妹がいる。54ヘクタールで米やネギ、イチジクなどを生産する(株)アグリライズ南保の代表を務める次女の藤澤ちひろさん(33)と、三女の諸石光さん(30)、長女の南保静香さん(35)。師匠と仰ぐ父・南保陽一さん(63)から経営のバトンを受け取った。

 「農業は自分の代で終わりと思っていた。今は娘たちがどんな経営をしていくのか楽しみ」。日々、作業を共にする陽一さんは、3人の姿を頼もしく見守る。

 3姉妹とも、進学や就職を機に実家を離れた。農業を継ぐ気持ちは誰もなかった。転機となったのは、ちひろさんの出産後の里帰り。約20ヘクタールをほぼ1人で管理する父を見て、「思っていた以上に大変そう」と感じた。「あと何年できるか分からない」という父の会話も耳に残った。

 2011年の秋の稲刈りからちひろさんが手伝い始め、半年後に、転職を考えていた光さんが加わり、昨年から静香さんも仲間入りした。子育てしながら無理のないペースでできる。体を動かすのが好きな3人は農作業が予想以上に楽しく、農業に引き込まれていった。

 15年にアグリライズ南保を設立し、ちひろさんが代表に就任。水稲に、育苗ハウスを活用したイチジク栽培や、自慢の米を使った玄米コーヒーの販売などの新たな柱も加えた。

 地域を引っ張る先輩女性農業者も、姉妹を後押しする。野菜作りなどを共に学ぶ13人の女性農業者らでつくる「おいしいやさい部」。同年代の女性とのネットワークを経営に生かす。

 社名とロゴには、早朝の作業中に見られる日の出の景色と、農業の夜明けという意味を込めた。「『陽』という父の名前の1文字も実は入っている」(光さん)と、いたずらっぽく微笑む。「家族だから、何でも思ったことを納得いくまで話せる」と静香さん。

 3姉妹の思いは一緒だ。「家のお米が一番おいしい。おいしいものをみんなに食べて喜んでもらいたい」(ちひろさん)。挑戦は始まったばかりだ。(斯波希)

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