最寄り駅に開かずの踏切がある

 最寄り駅に開かずの踏切がある。遮断機が下りると待ち時間が長い。気ぜわしい朝夕だといらいらが募る▼ふと、なぜ踏切と言うのか、不思議に思った。止まるはずの場所なのに。勢いをつけて前に進む様の「踏み切る」では、おかしい。語源を当たると「踏面切断」という鉄道用語の略だった。踏面(線路)が道路で切断されている場所。だから踏切▼事故に自殺。痛ましい踏切事故が後を絶たない。高田敏子さんに「ふみきり」という詩がある。〈ふみきりで/ブザーが鳴っている/「止まれ」「止まれ」〉。そう、そこは踏み切る場所ではない。立ち止まる所。〈私たちの生きる道にも/見えないふみきりがある/そして/そのときおりるシャダンキは/やさしいあなたの母の手〉▼危険な誘惑の前で、心を静めて立ち止まる。そして母の姿を思い浮かべてみる。誰かが人生の道を踏み外しそうになった時、警告音を鳴らして遮断機の役目ができる大人でありたい。高田さんは、そんな思いでこの詩を書いたという。でも昨今はあおり運転といい、あおり外交といい、社会全体が警報を無視して抑制が効かなくなっている節がある▼安倍長期政権の総仕上げとなる新布陣が決まった。時に暴走気味の政権に、警報を鳴らし、遮断機となるコラムでありたい。

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