脊柱後弯症を防ぐ 始めよう 筋活と骨活 医師・作家 鎌田實

鎌田實氏

 長野県で45年間、内科医をしていますが、農村地域では今も時々、背中や腰が曲がった高齢者を見かけます。多くは、脊柱後弯(こうわん)症という背骨の変形です。

 原因は、骨粗しょう症が進んで圧迫骨折を起こしたり、骨の間のクッションの役割をしている椎間板がつぶれたりして、背骨の変形が進むためといわれています。脊柱後弯症は、女性のほうが多い傾向にあります。

 この脊柱後弯症を防ぐには、骨と筋肉を鍛えることが大事です。そして、生活習慣病や要介護状態になるのを防ぐ上でも、同じことが言えます。
 

かかと落としを

 
 僕は内科外来の患者さんに、筋肉を鍛える「筋活(きんかつ)」と骨を丈夫にする「骨活(ほねかつ)」を勧めています。

 骨活ができる鎌田式かかと落としは、とても手軽な運動です。①テーブルや椅子の背などにつかまって背筋を伸ばして立つ②爪先を上げて1秒キープ③かかとを上げて2秒キープ④かかとをストンと床に落とす──。たったこれだけです。

 爪先を上げる動作では、脛(すね)の前側の筋肉を鍛えます。この筋肉を鍛えると、歩く時に爪先が上がりやすくなり、転倒しにくくなります。また、爪先立ちをしている時にはふくらはぎの筋肉が強化されるとともに、毛細血管の流れも良くします。さらにかかとをすとんと落とす際には、骨芽細胞が刺激され、骨密度が高くなります。僕は骨密度が同年代の130%ありますが、このかかと落としを続けたおかげだと思っています。

 筋活には、鎌田式スクワットがお薦めです。テーブルや椅子の背につかまって、ゆっくりかがんで、ゆっくり立ち上がっていきます。椅子の座面の高さすれすれまで、お尻を突き出して、体を沈めます。かかと落としもスクワットも、10回を1セット とし、1日3セット を目標に続けてみましょう。『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)は、今ベストセラーになっています。

 これらの運動とともに、タンパク質をしっかり取ることも忘れずに。特に、運動後の30分はゴールデンタイム。牛乳やゆで卵、チーズ、ヨーグルト、納豆などを食べるようにしてください。効率的に筋肉を増やすことができます。
 

介護予防に最適


 筋活と骨活を、40歳ごろから続ければ、脊柱後弯症の予防につながりますし、60歳ごろから行えば介護予防になります。もちろん、80歳になっても遅くはありません。

 僕はスクワットとかかと落としを毎日続けた結果、3年間で体重が9キロ減って、ウエストも9センチ縮まり、メタボも解消しました。

 今71歳ですが、80歳になってもイラクの難民キャンプに診察に行きたいと思っています。そして、生きている限り月に1度くらいは、日帰り温泉にも行きたい。

 いくつになっても生き生きと過ごすためにも、ぜひ、筋活と骨活を始めてみてください。

 かまた・みのる 1948年東京生まれ。長野県・諏訪中央病院名誉院長。内科医として地域医療に尽力。東北の被災者支援、チェルノブイリやイラク難民キャンプへの医療支援にも取り組む。著書は『がんばらない』『鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』他、多数。

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