台風15号から2週間 激甚災「指定早く」 千葉県山武市

別の畜舎に避難させた牛の世話を続ける佐々木さん。畜舎は強風で屋根を支える柱が折れてつぶれた(千葉県山武市で)

 台風15号による強風で千葉県山武市では、畜舎が壊れるなど肉牛農家にも大きな被害が出ている。2週間たった今も被災農家は畜舎の修繕や牛の世話に追われ、懸命な日々を送っている。生産者の不安や疲労は募る一方で、早期の激甚災害の指定による復旧支援を求めている。
 

肥育牛舎全壊 先行き見通せず


 肉用牛70頭を肥育し出荷する同市の佐々木畜産。強風で屋根を支えていた柱が折れて、築約40年の木造の畜舎が全壊した。牛に死亡やけがはなかったが、先行きが見通せないでいる。全壊した畜舎にいた牛は、倒れた柱をジャッキで持ち上げた上に、くりぬいた壁から牛を出して避難させた。

 佐々木清代表は「飼料米を作る水田13ヘクタールで刈り取り作業もあるため、畜舎の撤去も手つかずのまま」とこぼす。

 佐々木代表は家族2人と、損壊を免れた別の畜舎で、残った牛の世話をしているが、設備が不十分で子牛を受け入れられる状況になく、経営にも不安を抱える。

 佐々木代表は、「国の激甚災害指定で十分な支援が受けられれば牛舎を再建するつもりだが、それまでは生き延びた牛を育てて、せりに出して生活していくつもり」でいる。
 

福島から避難 「まだ頑張れる」


 同市で肉用牛150頭を飼う肥育農家の小林将男さん(63)の畜舎は屋根が飛ばされ、骨組みが曲がる被害を受けた。小林さんは、東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で福島県飯舘村から市内に避難してきた。台風は3年前に続く被災だという。

 今回は、敷地面積2万3000平方メートルの大部分の畜舎で、屋根となっている厚手のビニールシートが飛ばされた他、曲がった骨組みの部材の交換が必要になった。

 停電は、9日未明から22日まで続いた。牛に与える水は、地下水を引き揚げていたため、発電機の確保と道をふさいでいた倒木の撤去を優先させた。発電機は埼玉県に近い松戸市まで行って調達したという。

 畜舎の屋根になるビニールシートの補修は11日から取り掛かった。小林さんは、SNS(インターネット交流サイト)を通じてブルーシートを支援してもらったが、サイズが合わず応急処置にとどまり、畜舎の屋根はふさげないままだ。屋根の復旧は早くとも10月中、部材の交換は来年ごろになる見込みで、完全復旧への道のりは遠い。

 小林さんは「原発事故で避難してきたときに比べれば、まだ頑張れると言い聞かせている。なんとか牛を守りたいと必死だった」と振り返る。

 千葉県は、台風被害について寄せられた情報を基に調査に当たるなど、対応に追われている。「激甚災害に指定されたときには、生産者のニーズに応じて迅速な対応を行いたい」(畜産課)としている。
 

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