豚ワクチン 接種来月下旬にも 防疫指針改定案 9県想定し準備

 農水省は27日、豚コレラの予防的ワクチン接種を明記した防疫指針の改定案をまとめた。意見公募や都道府県への意見照会を同日から行い、同省の食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会の答申を経て正式に見直す。接種対象は、陽性の野生イノシシが見つかった岐阜、愛知、三重、福井、長野、富山、石川、滋賀、埼玉の9県を想定。早ければ10月下旬にもワクチン接種できる体制が整い、接種が始まる見通しだ。

 改定するのは「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」。同日開いた同部会牛豚等疾病小委員会、同省の豚コレラ対策本部で案を示した。

 改正案では「野生イノシシの感染が継続的で、衛生管理の徹底だけでは豚への感染防止が困難と考えられる場合」について、予防的ワクチンを接種できる規定を追加。イノシシからの豚への感染リスクが高いエリアを「ワクチン接種推奨地域」として都道府県知事が接種を認める。接種対象は現状で9県の想定で、各県はワクチン接種プログラムを作り、接種範囲などを決める。

 接種豚は基本的に、接種地域外に出せない。ただ、と畜場は都道府県が、車両や人の消毒を徹底するなどウイルスを広げない対策を取り、受け入れることとした。

 肉の流通は、制限しない。万が一、感染豚が流通しても、養豚場では食品残さの十分な加熱で侵入を防げると判断した。野生イノシシが食べないように野外へ捨てないことを徹底すれば、ウイルスの拡散も防げるとした。
 

「清浄国」 維持を断念


 豚コレラ対策で予防的ワクチン接種を可能にする防疫指針の改定に当たり、農水省が国際獣疫事務局(OIE)が認定する「清浄国」の維持を断念したことが27日、分かった。接種に踏み切れば来年9月に清浄国の立場を失う。輸出量は限られ養豚業への影響は限定的とみられる。一方で、非清浄国から日本への輸入解禁圧力が増し、ウイルスの侵入リスクが高まる恐れがある。

 昨年9月に豚コレラが発生して以降、日本の清浄国認定は「保留中」。復帰はワクチン接種せず3カ月間発生がないことが条件。最初の発生確認から2年以内に復帰申請できなければ清浄国の地位を失う。

 当初は地域を限定して接種し、流通を域内に制限して清浄国の地位を維持する手法を検討していた。ただ、接種した豚のトレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)を確立し、生体の他、豚肉や肉製品の流通も域内の限定が必要となる。だが、埼玉県などに感染地域が拡大し、厳格な流通規制の仕組みを大規模に構築するのは困難と判断した。

 清浄国の再認定は、接種を中止してから1年間発生がないことの確認が必要だ。輸出先は香港やシンガポールなどで、いずれも「非清浄国」。同省は、輸出を継続できるよう交渉し、影響を最小限に食い止めたい考えだ。
 

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