[あんぐる] 酢っかりとりこ ミツカンミュージアム(愛知県半田市)

酢と関係が深いすしの模型をずらりと並べた「ミツカンミュージアム」の展示物(愛知県半田市で)

 酢の産地として知られる愛知県半田市で、産地の歴史や製法を学べる「ミツカンミュージアム」が人気を集めている。体験型の多彩な展示物で思う存分“酢漬け”になれる博物館として評判を呼んでいる。

 同館は市内に本社を構える酢の老舗メーカー、ミツカンが設けた。五つの展示室をツアー形式で巡ると、酢の知識を深めることができる。

 異彩を放つのが幅約2メートル、長さ約8メートルのテーブルに並ぶ大量のすしの模型だ。マグロのにぎりずしやイクラの軍艦巻きなど1100貫が整然と並び、来館者の人気を集める。現在のにぎりずしの原型で、江戸で人気があった「早ずし」にも、同地で造られた酢が使われたという逸話にちなんだ展示だ。

 この他、仮名の「す」の文字の一部になりきるコーナーや、オリジナルラベルのポン酢作りなど、ユニークな体験がめじろ押しだ。

 醸造技術や歴史を紹介する一角では、江戸時代に実際に使っていた仕込みに使う直径約1・8メートルの木おけや、江戸まで酢を運んだ全長約20メートルの「弁才船(べざいせん)」を実物大で再現した物もある。同県東浦町から訪れた会社員、杉浦暁子さん(39)は「この船で酢が運ばれていたかと思うと感慨深い」と感心していた。
   
(写真左)江戸時代に作られた仕込み用のおけを見物する来館者(同・右)仮名の「す」の文字になりきる来館者

 同市がある知多半島は古くから酒などの醸造が盛んだ。同社も造り酒屋がルーツで、江戸時代の1804年に創業者が酒造りの際に出る酒かすを活用した「粕酢(かすず)」を考案。米との相性の良さからすし酢として評判になり、江戸まで送るようになった歴史がある。

 同館は酢の歴史や魅力の発信を目的に1986年に開館。2015年に展示内容を一新した。年間およそ16万人が訪れ、市内の観光の目玉になっている。榊原健館長は「酢がテーマの博物館は全国でここだけ。台所では脇役の酢もここでは主役。楽しみながら親しんでほしい」と話す。(富永健太郎)
 
「あんぐる」の写真(全5枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます

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