本紙モニター調査 官邸主導の農政脱却を

 7割近くの人が安倍農政を評価していない──。日本農業新聞がまとめた農政モニター調査で、そんな結果が出た。生産現場の農政不信は根強い。政府・与党は、頭ごなしになりがちな官邸主導の農政を改め、生産現場の声に耳を傾ける丁寧な農政運営へと転換すべきだ。

 最近の調査では、安倍農政に対する評価は改善傾向にある。安倍農政を評価しない人の割合は、日米貿易協定の交渉入りを決めた昨年9月の調査では73・4%に達していた。

 だが、それ以降は減少を続け、今回の調査では66・5%。日米貿易協定の大枠合意後にもかかわらず、前回6月の調査より0・8ポイント減った。

 7月の参院選を念頭に、政府は今年前半、目立った改革に踏み込まず、農政はなぎが続いた。評価が改善する背景には、こうした事情があるのだろう。だが、評価しない人の割合は7割近くと、依然高水準にあることに変わりはない。政府・与党は、今回の結果を重く受け止める必要がある。安倍内閣の支持率は43・4%。前回より2・6ポイント上昇した。支持理由を聞くと、「他にふさわしい人がいない」が最多の約4割を占めた。堅調な支持率も、消極的な理由に支えられていることを忘れてはならない。

 農政不信の払拭(ふっしょく)に向け、政府・与党に求められるのは何か。一つは、規制改革推進会議のような会議体の意向が色濃く反映される、官邸主導農政からの脱却だ。

 安倍政権では、農水省の「食料・農業・農村基本計画」よりも、官邸で決める「農林水産業・地域の活力創造プラン」が重視されてきた。どちらを優先すべきか尋ねると、基本計画という回答が5割を占めた。官邸主導農政を生産現場は望んでいないという一つの証左だろう。

 新たな基本計画の策定に向けた議論で、重視すべきテーマを聞くと、「食料自給率の向上」「農業所得の増大」「担い手の確保・育成」という声が多かった。政府・与党は、こうした生産現場の期待に応える基本計画策定に全力を挙げるとともに、これを最優先する農政運営へと回帰すべきだ。

 今回の調査で、残念だったのは野党の支持が振るわなかったことだ。次の国政選挙で投票する政党、支持政党を聞いたところ、自民党を選んだのは、それぞれ40・6%、45・6%。野党合計は、それぞれ26・6%、20%で、大きな差を付けられている。野党は7月の参院選で、全32ある改選議席数1の「1人区」で統一候補を擁立し、10議席で勝利した。だが、今回の調査結果からは、そんな勢いは感じられない。

 野党は共通した農政の議論を深め、国民の前に示すなどし、もっと存在感を示してほしい。野党が生産現場の支持を拡大してこそ、国会論戦に緊張感が生まれ、より良い農政運営にもつながるはずだ。
 

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