自治体9割が「運営主導」 機能低下の懸念も 改正卸売市場法アンケート

 改正卸売市場法への対応について、中央卸売市場を開設する全38自治体に行ったアンケート調査では、公正な取引などを維持するため、9割の自治体が引き続き市場の整備や運営を主導する方針であることが分かった。規制緩和を打ち出した改正法による市場改革では、取引の活性化を期待する意見がある一方で、市場の機能が低下する恐れがあるとの懸念も示された。

 改正法では、開設者の民間参入も認められるようになった。しかし、今後、中央卸売市場にどのように携わっていくかを問う設問では、「開設自治体が整備や運営を主導」が89%に上った。

 主な意見として「公正な取引や安定供給を確保し、高い公共性を保つには、自治体が開設者となり指導監督する必要がある」「多種・多量の物品の効率的で継続的な集分荷、安定供給機能を持つ基幹的なインフラとして、公的関与が必要」などが挙がった。その上で、「一部外部委託や指定管理など、運営手法の見直しは将来的な検討課題として捉えている」とする声もあった。

 法改正が農産物流通や市場運営に与える影響に関する問いでは「メリットが非常に多く期待が高い」と、ほぼ全面的に肯定する意見は11%にとどまった。「メリットの方が多いがデメリットも無視できない」(42%)「デメリットが多いが、期待できるメリットも一部ある」(5%)と良い面、悪い面の両面があるとの回答が半分を占めた。

 肯定的な意見では、「場内業者が規制に縛られず自由に営業活動ができ、市場の活性化が期待できる」「場内業者の事業拡大の可能性が広がり、市場外流通との競争力を確保できる」など、市場活性の好機と捉える向きが多かった。

 否定的な側からは「規制による明確な区分が撤廃され、卸・仲卸が担い、維持してきた市場の機能が喪失し、卸売市場システムの崩壊につながりかねない」など、懸念が示された。規制がなくなった結果、市場間競争が激しさを増し、「小規模の事業者は経営が圧迫され、卸売市場としての機能が低下する」と危惧する声も上がった。

 法律に基づく全国一律の規制が限定され、開設自治体の負担が増すことへの懸念も目立った。
 

自治体の負担限界 「国支援継続を」


 

 卸売市場の情勢に詳しい神戸大学大学院・小野雅之教授の話


 今回の法改正で、国は卸売市場に対し政策的に関与する責任から手を引く姿勢を鮮明にした。一方、権限を丸投げされた自治体の責任は増した。

 例えば、第三者取引や直荷引きは事業者間で対立が表面化しやすい問題。流通機能として卸と仲卸の垣根がなくなり、市場取引の秩序を保てなくなる恐れもある。自治体はスタンスを明確にし、リーダーシップを発揮できるかが問われる。

 事業者への指導、監督、検査などの業務も、国から自治体に委ねられた。新たな取引ルール策定のかじ取り、業務量の増加に対応する体制を自治体が整えられるか、心配だ。アンケートでも、負担の重さに苦しむ実態がうかがえる。

 負担が増す自治体に全てを委ねるには、限界がある。国は、卸売市場という存在に対してどう関与を続けていくのかを示し、支援を続けていく必要がある。
 

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