GAP手順動画で共有 酪農ヘルパーや実習生悩み解消 北海道中標津農高 普及大賞を受賞

牛乳運搬の作業手順を説明する動画を見せる谷班長(北海道中標津町で)

ミルカーを取り外す作業の手順を説明する動画の一場面

 北海道中標津農業高校(中標津町)の生徒が、農業生産工程管理(GAP)を取得するための酪農の作業手順を動画にまとめ、日本GAP協会が実施する今年の「GAP普及大賞」を受賞した。搾乳や給餌などの手順を撮影してスマートフォンなどで確認でき、酪農にGAPを普及する優れた事例として評価された。今後、酪農ヘルパーや担い手育成にも使えると期待されている。
 

給餌、搾乳を説明


 動画は同校生産技術科動物活用研究班が制作。きっかけは、生徒が5日ほど農家に泊まり込む実習の経験だった。学校と実習先の牧場では作業や搾乳の手順が異なり、作業がスムーズにできず悔しい思いをした。そのため、手順を動画で撮影し共有すれば、作業が分かりやすくなると考えた。

 同校が「JGAP家畜・畜産物」の取得を目指すため作成した手順書にQRコード(2次元コード)を印刷。スマホなどで読み取ると、動画共有サイト「You Tube」で見ることができる。

 動画は、班員6人が同校の牛舎で制作。これまで手順書にある、①搾乳する牛の順番の確認②前搾り③乳頭清拭──などについて搾乳手順や手洗い、給餌などの作業を説明する動画8本を作った。同校3年生で班長の谷弦斗さんは「動画だと牧場の様子が分かるし、言葉で説明が難しい部分も伝わる」と話す。

 動画制作には酪農ヘルパー業務を請け負うファム・エイ(同町)が協力した。同社の釼持康一管理部長は「生徒の悩みと似た悩みを酪農ヘルパーの現場も抱えている」と話す。酪農家に代わって牛の世話をする酪農ヘルパーの仕事は、作業内容は同じだが作業の手順や方法は牧場ごとに異なる。「それぞれの牧場のやり方を動画に撮ってもらえれば、事前の資料として酪農ヘルパーが仕事に取り掛かりやすいツールになる」と動画の効果に期待を寄せる。

 同班は外国人技能実習生にも作業手順を分かりやすく伝えようと、GAPの手順書に英訳を付けた。加瀬利憲教諭は「ただGAP認証を取るだけでなく、いかに良い農業をするかが大事だ。地域に貢献するアイデアとしたい」と話す。

 「GAP普及大賞2019」を受賞した同校は、9日に東京都文京区で開かれるシンポジウムで表彰され事例を発表する。審査した同協会によると、人手不足で酪農ヘルパーや実習生を頼む酪農家が増える中、作業手順を正しく伝えることが課題の一つになっているという。「同校の取り組みはこうした地域農業の課題解決につながる」と評価し、「新しいモデルとして、実用化が期待される」とする。

 今後は、地域の酪農家にも動画制作を勧めていく考え。谷班長は「それぞれの牧場で動画を作ってもらえたら一番良い。地域で賛同してくれる酪農家と協力して広めたい」と話す。
 

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