農プラットフォーム 多様な新規就農後押し

 生産基盤を維持する最重点に農業者の育成がある。時代の変化に合わせて多様な育成メニューを用意し、田園回帰志向者を含めた幅広い関心層向けの「就農プラットフォーム」を民間で構築してはどうか。

 新規就農者は近年、40代以下の若い世代が4年連続で2万人を超え、明るい兆しが見えたが、2018年は2万人を割り込んだ。背景には他産業との人材獲得競争の激化がある。てこ入れが急務だ。国の予算減額で現場が混乱した「農業次世代人材投資事業」の拡充は必須だが、その上で民間レベルでできる対策として二つ提言したい。

 一つは、育成の対象とする農業者像とメニューの多様化だ。国の担い手政策は中核的な農業者の育成を基本とし支援施策にも制約があるが、民間がこれに合わせる必要はない。専業農業者はもとより、兼業の形で農業に関わりたい人、人手不足をカバーする援農者の育成など、さまざまなメニューがあってよい。むしろ、民間だからこそしなやかに対応したい。

 近年の「田園回帰」の実態を見ると、就農者の全てが判を押したように、農水省が描く「効率的安定的経営体」を目指しているわけではない。むしろ「半農半X」、なりわい農業、小規模でも付加価値の高い農業、福祉や観光との連携など、さまざまな農の在り方と地域との関わりを追い求めている。

 こうした意識の変化を踏まえ、受け入れ側はそれぞれの地域の実情に応じた「育てたい農家像」をつくり、柔軟に進めた方がよい。中山間地域では、集落営農組織が高齢化により「農業じまい」する事態が起こっている。こうした問題に特化した後継者づくりにも力を入れたい。条件不利地域ほど農業一本での自立はハードルが高く、半農半Xどころが、「0・1農0・9X」もあり得る。国の施策の多様化も望まれる。

 対策の二つ目は、就農希望者向けのプラットフォームの構築である。これは、後継者づくりで実力も成果も随一のJAグループに期待したい。技術指導から農地のあっせん、経営相談まで一貫して支援できる強みを持つ。安倍晋三首相が力説する「2万人の若手就農者」育成の相当部分にJAが貢献している。

 JAの新規就農支援の取り組みが、大企業の就農サイトのような発信力を持たないのは残念である。JA個々の活動にとどまり、グループとして「見える化」されていないからだろう。北海道から沖縄まで品目別、経営類型別、地帯別のさまざまな支援メニューをまとめて示し、双方向のやりとりができる就農プラットフォームこそ、これらの課題解決につながるはずだ。

 若い世代ほどインターネットの発信に敏感である。未来の農業者を目指す若い世代とつながり、その裾野を広げることは、農業生産拡大に取り組むJAグループの自己改革の発信力強化にもつながる。
 

おすすめ記事

論説の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは