来るぞ!雨・風 警報級 対策急げ 台風19号

台風前に急ピッチで柿を収穫する井上さん(9日、和歌山県九度山町で)

昨年被害を受けたナスのハウスの跡地で台風を心配する松下さん(同、高知県室戸市で)

 暴風雨に早めの備えを──。大型で猛烈な台風19号が強い勢力を保ったままやってくる。千葉県などに被害をもたらした9月の台風15号と進路が似ているとされ、気象庁は9日、厳重な警戒を呼び掛けた。四国から関東にかけての果樹産地などでは、早期の収穫や防除の準備に追われている。
 

気象庁 あすまでに備えて


 気象庁は9日、19号が週末にかけて広範囲に大きな影響をもたらすとして、緊急の記者会見を開いた。関東などで果樹の倒木や住宅の倒壊の恐れがあるほどの暴風となる見通しで、11日までに備えるよう厳重な警戒を呼び掛けた。同庁は「命を守るための早めの対策をお願いする」と強調した。

 19号は非常に強い勢力を保ったまま、12日にかけて、関東から近畿の広い範囲に接近、または上陸する見込み。同日は警報級の大雨となる可能性が高い地域は東北、関東甲信、伊豆諸島、北陸、東海、四国地方。警報級の暴風となる可能性が高い地域は東北、関東甲信、伊豆諸島、北陸、東海、近畿地方になる。

 13日までは北海道、東北、関東甲信、北陸、東海で暴風や警報級の大雨となる可能性がある。15号に匹敵する記録的な暴風となる見込みだ。

 気象庁は「風が強くなるので、広い範囲で果樹の落果対策が必要。場所によって倒木の恐れもある。暴風域になると急激に危なくなるので、週末の田畑の見回りは絶対にやめてほしい」と注意を呼び掛けている。
 

「またか…」各地で警戒感


 高知県室戸市の松下勉さん(55)は昨年9月、台風24号でナスのハウスに高波の被害を受けた。「昨年は収穫を始めて最初のピークを迎えたばかりのときに、10アールで大きな被害を受けた。今回も室戸沖を通過することが予想され、心配でたまらない。被害がないことを祈っている」と警戒した。

 「高温続きで収穫が遅れた上に台風がくれば、踏んだり蹴ったりだ」。和歌山県九度山町の柿農家、井上靖雄さん(56)は採果ばさみを握り締め、急ピッチで「刀根早生」の収穫作業に精を出す。

 井上さんは2ヘクタールの園地を管理。今年は高温が続き色付きが進まなかったため、例年より1週間ほど遅い4日から収穫のピークを迎えた。

 台風前にできるだけ収穫を済ませようと、作業員を増員。1時間程度早い午前6時台から作業している。「今は収穫のことで頭がいっぱい。強風から守る竹製の支柱を立てる暇もない」(井上さん)

 昨年は9月に台風21号の被害に遭った。風雨にさらされ多くの柿が擦れ、3、4割の出荷を見送った。ブランド柿「富有」の収穫も控えるが、「台風が直撃すれば、かなりの枝折れや落果が出るだろう」と懸念する。

 東海地方の果樹産地でも備えを急ぐ。

 愛知県のJAあいち三河は特産「筆柿」の収穫を進めている。JA営農企画課は「台風通過後の塩害も心配だ」と話す。静岡県のJAみっかびは、強風で温州ミカンに傷果ができ病害が広がらないよう、事前に防除剤の使用を管内の有線放送などで呼び掛けた。

 同県のJA伊豆太陽は9月の15号でワサビ沢への土砂流入やビニールハウスの損壊などの被害を受け、復旧作業を進めている最中だ。

 19号の進路が15号に近いため、JAの営農指導担当者は「さらに被害が拡大して営農の再開まで時間がかかるのではないか」と心配する。ハウスではカーネーションが一番花の出荷を迎えており、ビニールが風で飛ばないよう補強を進めている。

 千葉県内の農家も対応を急いだ。

 白井市で75アールの梨園を経営する中村喜一さん(70)は9日、園を風などから守る多目的防災網の緩みを直し、締め直す作業をした。15号では「新高」などが落果する被害が出たばかり。「15号以上の風と聞いた。木を守らないといけないと思い網を締め直した」と話す。

 館山市にある33アールの園地でカーネーションやキンギョソウなどを施設栽培する鈴木政孝さん(43)は、15号の被害を免れたハウス5棟のビニールを10日にはがす。「ハウスの骨組みがやられたら大変だ。ハウス内には花も残るが、やらざるを得ない」と声を振り絞る。

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