台風19号への備え 命守る最大限の警戒を

 過去最強クラスの台風19号が、近づいている。最大の警戒が必要だ。人命第一で行動しよう。「自分だけは大丈夫」の意識は捨て、身の危険を感じたら、避難することが重要だ。

 大きな被害をもたらした台風15号襲来から、まだ1カ月余り。その復興半ばで、一層の脅威が迫っている。台風19号は、15号とほぼ同じ進路を強い勢力を保ったまま進んでいる。その特徴は強さだけではない。その巨大さだ。12日に警報級の大雨となる可能性が高い地域は東北、関東甲信、伊豆諸島、小笠原諸島、北陸、東海、近畿、中国、四国地方と広範囲に及ぶ。関東の山沿いでは総雨量が500ミリを超える大雨になる恐れがある。

 気象庁は「命を守るための早めの対策が必要」と緊急の記者会見を開いた。住宅の倒壊があるほどの暴風となる見通しを示し、厳重な警戒を呼び掛けた。昨年の台風21号では、止まっているトラックが強風で横転する生々しい映像が記憶に残る。あの台風と同様の警戒が必要になっている。台風15号では千葉県などで広範囲な停電と断水などライフラインが機能不全を起こした。今回も起こる恐れがある。最悪の場合を想定した備えが必要になる。

 農作物への影響も懸念される。人命第一の行動に加え、できる備えに注力したい。農地や農業用施設などの見回りは暴風雨、異常出水が治まるまで行わない。暴風雨が治まったとしても、増水した水路など危険な場所に近づいてはいけない。台風通過後の作業も細心の注意を払い、二次災害を起こしてはならない。

 その上で、農作物を守る事前の対策も重要だ。園芸作物全般に接近前に施設や農場周囲の点検、排水路の清掃を行い、温室や育苗・集荷施設は、防風網の設置などで飛来物の対策を講じる。果実はできるだけ収穫する。露地栽培の花き類は、寒冷しゃなどでの被覆や、支柱の点検・補修が重要だ。

 畜産では畜舎の損壊・倒伏対策を行い、畜舎に浸水の恐れがある場合には、家畜の避難も考えよう。非常用電源は試運転を行い、使用方法や稼働時間を確認しておく。できることは全てやろう。

 避難する意識を高めることも大切だ。広島県によると昨年7月末、台風接近により約152万人に避難勧告などを出したが、実際に避難したのは約6000人。わずか0・4%だった。避難しなかった人の8割が「自分の家は大丈夫だと思った」と答えていた。

 災害が身近に迫っていても、焦ることもなく「どうせ大したことない」と考えてしまう「正常性バイアス(正常化の偏見)」が働いた。こうした傾向は、東日本大震災や御嶽山噴火でも見られ、逃げ遅れて死につながった。この苦い教訓を生かすべきだ。安易な思い込みは捨て、命を守るため最大限警戒し、早めに備えよう。

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