[スマート解決 地域の課題](1) 大区画化→直進キープ田植え機 新潟県上越市・高野生産組合

直進キープ田植え機を点検する小林さん(右)と梨本さん(新潟県上越市で)

 労働力不足、農地の大区画化、技術継承、働き方改革、震災復興──。地域が抱える多様で難しい課題にどう立ち向かうのか。ドローン(小型無人飛行機)や無人トラクター、人工知能(AI)などを用いたスマート農業で克服する動きが出てきた。スマート農業は、個々の経営改善だけでなく、日本農業を大きく変える可能性がある技術。課題解決の現場を追った。
 

正確操作 省力後押し


 「新人職員がベテラン並みに真っすぐに田植えができた。長時間の作業でも疲れがなかった」。スマート農業の手応えをこう語るのは新潟県上越市の大規模法人、高野生産組合の代表・梨本一好さん(70)。同市の水田の3割超が1ヘクタール区画で、同法人も多くの大区画農地を抱える。対応策として今春、自動操舵(そうだ)トラクターや直進キープ田植え機を導入。直播(ちょくは)などと組み合わせ、効率的で省力的な作業体系の構築を目指す。全国に訪れる“大区画時代”の将来を占う挑戦が始まった。

 大区画化は、稲作の生産コストを下げる対策の一つ。機械の移動の手間を減らし、労働時間を圧縮できる。国は2020年度までの土地改良長期計画で、50アール程度以上の大区画水田を全国で新たに8・3万ヘクタールに広げる目標を掲げる。

 一方、大区画にすると従来の作業体系では対応できない事例も出てくる。田植えの列が極端に長いと技術や経験の浅い若手には田植え機の操縦は難しい。地力むらや生育格差も生じやすく、きめ細かい管理が難しくなる。

 同市の水稲作付面積は1万2000ヘクタールで、8割が担い手に集まる。高野生産組合の経営農地は72ヘクタール。法人が活動する地域は大区画化工事が進み、20年には法人の全ての農地が1ヘクタール級となる。中には4ヘクタールや2・5ヘクタールの“超”大区画もできる。

 法人で機械作業を担う小林昌宏さん(48)は「距離が長く、ターンも多い。田植え機を真っすぐ走らせるのに神経を使う。水田が広いと効率は良いが、従来の機種では大変」と大区画ならではの課題を指摘する。

 解決を期待するのがスマート農業。法人のトラクターや田植え機は大型で、自動で直進作業を維持でき、大区画水田に必須の農機と位置付ける。水管理の自動化や地力むらに応じた可変施肥、ドローンでの施肥、生育診断も行う。

 生産コスト低減にも挑戦する。育苗や苗運びなどが不要のV溝乾田直播技術を取り入れた。同技術の生産費目標は米60キロ当たり7900円で、全国平均の同1万6000円の半額だ。

 地元のJAえちご上越は、飼料用米や業務用米など需要に応じた米生産に向け、ノウハウを地域に広げる考え。同JA営農部の岩崎健二部長は「管内は家族経営から中山間地まで多様だ。スマート農業を面的に広げるために、JAとしても支援したい」と強調する。

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