[あんぐる] 豊穣の舞 脈々と 朝日豊年太鼓踊(滋賀県米原市)

伊吹山を望む農道を太鼓や笛を鳴らしながら練り歩く「朝日豊年太鼓踊」の一行(滋賀県米原市で)

 滋賀県米原市朝日地区では、住民が毎年10月上旬、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する「朝日豊年太鼓踊(おどり)」を八幡神社に奉納する。色鮮やかな衣装を身にまとい、竹のばちで太鼓を打ち鳴らしながら、掛け声に合わせて勇ましく舞う。

 今年の開催日となった6日の午後1時ごろ、背中に金色の飾りを付け、肩から腕に着る赤い「緋(ひ)小手」やすげがさ、縦じまのはかまで着飾った住民合わせて約100人の行列が出発。腹に抱えた太鼓や鉦(しょう)、笛を鳴らしながら、伊吹山を望む住宅地や農道を八幡神社まで練り歩いた。

 参加者には子どもが目立った。「太鼓打ち」として参加した吉田絢寧さん(7)は「とっても緊張する。上手にたたけるように頑張る」と本番に向けて意気込んでいた。

 神社に着いた一行は、境内で輪になり、体を翻しながら腕を大きく振り上げて太鼓をたたき、ばちを打ち合わせて踊った。踊り手の列の間を、子どもが舞いながら通り抜ける見せ場もあった。終盤には2列になって膝を突いて踊る「綾(あや)の踊り」を披露。最後は再び輪になって踊った。

 
ばちを勇ましく打ち合わせながら踊る「太鼓打ち」


 この踊りは約1300年前、伊吹山の山裾に位置する大原郷を開墾した際に、雨乞いを目的に始まったと伝わる。かつては地域のあちこちで見られたが、農業用水が整って雨乞いが廃れると、多くは消えた。

 一方、朝日地区では、自然への感謝と五穀豊穣の祈願に姿を変えて現在まで受け継がれてきた。現存する太鼓踊りの中でも勇壮さが特徴で、1974年に国が選択無形民俗文化財に指定。2015年認定の日本遺産「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財にも名を連ねる。

 保存会の馬渕英幸会長は「地域の自慢で、郷土愛を育むきっかけになっている。受け継いだ踊りを絶やさぬよう、若い人にも参加してほしい」と語る。(釜江紗英)

「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます  

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