基盤弱体化防げず 財務省が農業予算で「考え方」

 財務省の農業予算の考え方では、日米貿易協定に伴う国内対策について、「真に競争力強化につながる対策」に絞り込むよう求め、予算圧縮への意欲を強くにじませる内容になった。だが、安倍政権が力を入れてきた輸出拡大などの競争力強化だけでは、生産基盤の弱体化に歯止めはかからず、食料安全保障も揺らいでいる。中小規模を含む多様な農業者が活躍できる基盤づくりにつながる対策が求められている。

 同省は対策に関連し、TPP対策の主軸を担ってきた畜産クラスターや産地パワーアップといった事業の執行状況を詳しく提示。“ばらまき”と批判されたウルグアイラウンド関連対策の概要も示すなど、国内対策予算への厳しい姿勢を反映させた。

 提言では、飼料用米への支援にも言及。食料自給力指標を前面に出して転作誘導を問題視した。ただ、水田の活用が滞って、飼料自給率が落ちていけば、カロリーベース食料自給率は過去最低の37%から、さらに下落しかねない。市場開放と世界の食料需要拡大が進む中で、食料安全保障確保の視点が欠かせない。

 安倍晋三首相は日米貿易協定を巡る農業対策について、「なお残る農家の不安にもしっかり向き合う」と繰り返す。政府が輸出拡大や大規模化への対策を重視してきた一方、条件不利地や中小規模の家族経営が取り残されないか──。農村の真の不安はここにある。

 議論の場となった歳出改革部会は、予算の在り方の見直しに特化した議論を深めるため、財政制度等審議会が財政制度分科会の下に新設した。

 同日の議論では「補助金の見直しという次元ではなく、補助金をどのようになくしていくのかを考えていくべき」「関税を引き下げていく中で、予算の効率化に向けてポイントを絞った財政支援が必要だ」と農業予算そのものの在り方を巡る意見も相次いだ。

 こうした議論を背に、財務省が予算削減圧力を強めるのは必至。ただ、本格的な市場開放の時代を迎える中で、予算の圧縮は現場の意欲にも影響しかねず、丁寧な議論が求められる。
 
 

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