日米協定で試算 牛肉 最大474億円減 試算前提に疑問も

 政府が公表した日米貿易協定の影響試算では、牛肉の生産減少額が最も大きく、最大474億円に上った。ただ、国内対策が十分に効果を発揮して国内農業の生産性が高まり、「国内の生産量も農家所得も変わらない」(農水省)ことを事実上の前提とし、価格低下の影響だけを見込んだ。影響を正しく評価できているかどうか、試算の前提が改めて問われそうだ。

 試算は関税率10%以上で国内生産額が10億円以上の33品目について行った。環太平洋連携協定(TPP)など従来と同様の手法を用いた。

 日米協定が発効すれば、米国産牛肉にかかる関税(現行税率38・5%)が2033年度には9%まで下がる。試算では、国産牛肉のうち乳用種が米国産と競合し、関税削減分だけ価格が下落するとし、和牛・交雑種は差別化されているため、その半分以下の下落にとどまることを前提とした。

 オーストラリアなど11カ国によるTPP11の試算では、牛肉の生産減少額は最大399億円とはじいていた。今回は直近の価格に基づいて試算したため単純比較はできないが、牛肉の生産減少額はTPP11に比べ大きくなった。

 その他、生産減少額は大きい順に牛乳・乳製品が最大246億円、豚肉が217億円、鶏卵が48億円、かんきつ類が39億円、小麦が34億円、鶏肉が32億円などと続いた。

 米や林産物、水産物は関税削減の対象から除外されたため影響額はゼロとなった。米は国別の輸入枠を設けたTPPでも、国別枠と同量の国産米を買い入れる対策を実施するため影響額はゼロとしていた。

 今回の試算は従来同様、国内対策が十分に機能することを前提としている。そのため同省は「カロリーベースの食料自給率も変わらない」としている。
 

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは