[スマート解決 地域の課題](5) 乳牛の管理技術継承→データ“見える化” 北海道・JAけねべつTMRセンター

TMRセンターのモニターに映し出されたトラックや収穫機の位置を確認する(左から)鈴木さん、漆原さん、川目課長(北海道中標津町で)

 乳牛の不調の原因が、病気なのか、餌なのか、誰にでも分かるように──。酪農では牛の不調や病気の兆候を見つける観察が欠かせない。だが、原因の推定には多くの経験が必要だ。北海道中標津町のJAけねべつ管内では熟練の技を客観的なデータで“見える化”し、次世代につないでいる。
 

不調ずばり 若手安心


 同JAのTMR(混合飼料)センターアクシスを利用する16戸のうち6戸が新規就農者。施設はトウモロコシや牧草などをTMRにして2000頭分を酪農家に届ける。酪農家のゆとり確保や規模拡大につながり、同施設に魅力を感じた若者で参入が進む。

 ただ、経験が浅い酪農家には観察の目が備わっていない。少しの牛の変化の見落としが治療遅れや事故原因になり得る。その対応策として期待されているのが、今後、本格的に動きだすデータ活用だ。

 センターでは、各酪農家から搾乳ロボットを通じ、乳量や乳成分など生乳データを集めている。センターはデータを分析し、不調の予兆を把握して酪農家につないだり、飼料設計に生かしたりする。異常発生時の対応時間を従来比10分の1に短縮する目標だ。JA営農部の川目剛課長は「調子が悪い原因を探れる。経験の浅い農家でも対処しやすい」と期待する。

 生乳データを提供する漆原俊之さん(43)は、ベテランにもメリットがある仕組みとみる。それが増頭だ。「多頭飼育ではきめ細かい観察が難しくなる。センターと連携しながらデータで確認すれば、しっかりと管理できるはず」と見通す。

 飼料作物の効率的な収穫や飼料製造の品質管理もベテランの技が必要。これも見える化し、TMR製造労働時間の1割削減や調製作業効率の1割向上を目指している。

 飼料作物の収穫は利用農家が総出で行う。トラック15台、収穫機5台などを使い規模は1000ヘクタール。今年は車両にGPSを取り付け、作業を記録した。

 バンカーサイロ内を農機で鎮圧した経路も記録する。鎮圧が不十分だと飼料の品質は低下する。「ベテランの動きをデータ化して引き継げば、良質な飼料ができる」と川目課長は話す。

 地域では若者の参入が続くとみられる。TMRセンター利用協議会代表の鈴木直良さん(47)は「経営安定や増頭、飼料生産に欠かせない仕組みになるだろう」と酪農発展の起爆剤となることを期待する。

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