桃を助けて! 台風19号で泥水襲来 改植必要 7年は未収益に 福島県国見町

木に残ったごみを見上げる井砂さん(福島県国見町で)

 台風19号の被害を受けて、福島県では生産者から桃の改植や育成期間の支援を充実するよう求める声が相次いでいる。土砂の流入や長時間の冠水により被災した園地は今後、枯死や病害、生育不良など影響が出る恐れがある。改植が必要な園地も多いとみられ、地域の基幹産業への影響を危ぶむ声が上がっている。(音道洋範)
 

ごみ散乱、木枯死 支援拡充を切望


 桃の一大産地、福島県国見町では、13日未明に阿武隈川へ流れる滝川の堤防が決壊し、60ヘクタール近い桃の園地と水田が冠水した。同町で桃4ヘクタールを栽培する井砂善栄さん(73)の園地は3ヘクタールが水没。「あるはずの桃の木が泥水で見えなかった時は、もう夢も希望もないと感じた」と振り返る。

 一時は4メートル近い高さの桃の木が見えなくなり、地面を確認できたのは3日後のことだった。水が引いた後、園地には流されてきたごみが散乱。桃の木の頂上部にも水で流されてきたごみが引っかかっていた。

 息子の聡さん(40)も就農し、これからという時期だった。一部の木では枯死が起き始めている他、病害虫のまん延も懸念されている。「生き残った木も弱っていることで、以前のような秀品を取るのは難しいだろう」と肩を落とす。今後は「木を改植しなければならないかもしれない」と不安がる。

 農水省は今年の豪雨災害や台風15号による被害に対して、桃やリンゴの改植には10アール当たり17万円を補助している。また、成木となるまでの未収益期間には4年間分の肥料や農薬代として、10アール当たり22万円を一括で補助している。

 だが実際には、桃は改植してから7年ほど育てないと売り物になる果実は実らず、福島県内の農家からはその間の経済的な不安を指摘する声が相次いでいる。

 JA福島中央会の菅野孝志会長は「農家が頑張りたいと思える道筋を示すことが大切だ」と訴える。21日には、未収益期間の支援延長や、新たな園地で営農を再開する場合の支援を農水省の伊東良孝副大臣に要請した。

 江藤拓農相は同日、長野県のリンゴ産地を視察し、改植に対する未収益期間の追加支援策を検討していることを明らかにしている。井砂さんは「とにかく現場の声を聞いて、スピード感を持って対応してほしい」と訴える。

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