[スマート解決 地域の課題](6) ノウハウ共有→AIかん水システム JA熊本市茄子部会

自動かん水の使い方を確認し、収量増に期待を寄せる宮崎さん(右)と小林さん(熊本市で)

 熊本市の宮崎誠也さん(44)は今年、JA熊本市茄子(なす)部会を代表し、人工知能(AI)自動かん水施肥システムを導入した。ナス栽培は雨の日や日照が少ない冬のかん水判断が難しい。宮崎さんも養液のやり過ぎで灰色かび病を発生させたこともある。宮崎さんは、雨の日にかん水を控えていたが「AIは雨の日にもかん水することがあり、自分との違いに驚いている。機械任せに不安はあるが、収量と品質向上に結び付くか確かめる」と意欲十分。ノウハウを部会に広げるけん引役を担う。
 

負担減と増収 両立へ


 同市では、情報通信技術(ICT)を活用した施設園芸が広がり始めている。温度や湿度、二酸化炭素(CO2)などを測定して栽培管理に生かし、収量や品質の向上につなげる。ただ、農家はデータ入力などで負担が生じた。農家の連携も不十分で部会全体でノウハウが共有できていなかった。営農日誌や出荷情報は今でも紙でまとめ、デジタル化はまだまだ。JA営農指導員の人数も限られ、現場対応に限界があった。

 こうしたICT化の落とし穴を、栽培面積76ヘクタール、部会員164人の同部会はAIかん水システムという新たな取り組みを契機に乗り越える考え。農家6人をモニターに最新設備を先行導入し、栽培データをデジタル管理する。蓄積データは地域に広げて実績を底上げする。2020年産の各部会員の販売金額を17年産比7%増とする目標を掲げる。

 宮崎さんは、タブレット端末で営農記録を取る。過去の天気と作業記録を現場で確認し、農薬の使用履歴を見て、散布計画を練る。データは、部会員がネット上で共有できる仕組みも整えた。10月から部会有志で栽培・経営分析から販売までの勉強会を始めた。

 JA鹿本管内のスイカ生産者でつくる組織も同様の仕組みでスマート農業を展開。熊本市農業支援課の坂本耕弘副課長は「農業をもうかる産業に変えたい。一歩として、生産から販売までのデータを収集分析し、失敗しない営農ガイドラインを作る」と強調。農業ビジネスモデルづくりを急ぐ。

 システム構築に携わるIT企業、ファーム・アライアンス・マネジメントの小林和敬西日本エリアディレクターは「農家1戸の経営改善ではなく、部会など組織に成果が広がって初めて成功といえる。スマート農業は農業のインフラになる」と強調する。
 

おすすめ記事

営農の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは