[未来人材] 37歳。Iターン就農、肥料抑えたイチゴ好評 規格外品もPR材料 山中歩さん 山口県岩国市

「3年後にはジェラートの売り上げを300万円に伸ばしたい」と話す山中さん(山口県岩国市で)

 山口県岩国市の山中歩さん(37)は、肥料を極力使わない栽培方法でイチゴの味にこだわる。2009年に夫婦でIターン就農し、20アールでイチゴ農園を経営。口コミで顧客を増やし、地元の牧場や養蜂家と協力してジェラートも開発した。就農して10年の今年、夫婦で家族経営協定を締結。地域の女性農業者のモデルとして期待がかかる。

 農家の出身ではないが、梨農家の祖父母の影響などで「将来は農業をやりたい」と考えていた。

 筑波大学大学院で植物病理学を学び、卒業後は東京の農薬メーカーに就職。結婚を機に、IT企業に勤めていた夫の健生さん(39)と相談し、夫婦で就農を決めた。

 山口県の就農支援制度を使い、2年間の農業研修を受けた後、健生さんの出身地、岩国市由宇町でイチゴの栽培を始めた。「イチゴ本来のおいしさを味わってほしい」と、栽培では肥料をできるだけ使わない。就農当初は苗の3分の1が枯れたり、電照の調整を誤って花芽が付かなかったりと失敗を重ねた。

 イチゴの販売は主に、ハウス横の事務所兼選果所で行う。正規品は1パック 300グラムで500円だが、小さいものを規格外品として1パック 200円で売ったところ「おいしいイチゴが安い」と口コミが広がった。正規品のリピーターにつなげ、昨年の売り上げは750万円に伸びた。「イチゴが営業してくれる」と手応えを感じる。

 栽培11年目の今年は、農閑期の6~11月の収入確保のため、加工品としてジェラートを開発した。「地産地消」をテーマに、市内の酪農家、養蜂家と協力。イチゴ、牛乳、蜂蜜のジェラートを3層構造にして三つの味がそれぞれ楽しめるように工夫し、道の駅などで売り出した。

 経営の参考にしようと、県主催のセミナーなど、女性農業者の集まりに積極的に参加し、ネットワークを広げる。県岩国農林水産事務所は「仕事にひたむきで生活設計もしっかりしている。地域の女性農業者のモデルになる存在だ」と評価する。

 10月15日に県の勧めで家族経営協定を結んだ。「夫婦で認識を合わせ、今年は売り上げ1200万円を目指す」と、着実に歩みを進める。(鈴木健太郎)
 

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