消費は半減 生産維持に影響 米食べぬどうする? 中・外食、簡便化に商機

 米の消費減退に歯止めがかからない。1人当たりの年間消費量はこの半世紀で半減。人口減少や高齢化に加え、パンや麺類など他の主食に消費が流れている。産地は需要に応じた生産や転作などを強化するが、年10万トンとされる現状の減少ペースが続けば、将来的に米政策が立ち行かなくなる恐れがある。需給や米価の安定、水田の維持に向け、消費のてこ入れが急務だ。

 「米が売れなくなり、10キロ袋の精米販売をやめています」。首都圏で137店舗のスーパーを展開する「いなげや」は、消費減に対応した売り場をこう説明する。都心では高齢化や単身世帯の増加を受け「2キロ袋の売り上げが伸びている」ものの、販売額の維持に必死だ。

 新米商戦も陰りが出ている。「昔と比べて新米の引き合いは強くない」(スーパーのマルエツ)という。精米売り場を縮小するスーパーもある。

 農水省によると1人当たりの米の年間消費量は、1962年度の118・3キロをピークに2018年度は53・8キロに落ち込んだ。食の多様化や世帯構造の変化が背景にある。家計調査によると18年の1世帯当たり(2人以上の世帯)の米の支出額は2万4314円で、パン(3万554円)より低い。

 米政策にも影響を及ぼす。18年産から産地主導の生産調整が始まり、農家所得確保や米価安定には需要に見合った生産が欠かせない。同省は19年産から、米の消費減少ペースを従来の年8万トンから10万トンに拡大。現状のペースが続けば10年後に北海道と新潟県の合計生産量に相当する需要量が失われる計算だ。米流通に詳しい民間研究機関、流通経済研究所の折笠俊輔主任研究員は「このままだと水田が維持できなくなる」と指摘する。

 一方、消費減退を食い止めるチャンスはある。18年度の主食用米消費の7割が家庭内消費、3割が中食・外食。家計調査によると中食・外食の1人当たりの年間支出額は直近10年間で約5000円増え、狙いどころだ。

 「簡便化志向」の高まりでパックご飯や冷凍米飯を中心に加工米飯市場も成長している。同省によると18年の加工米飯の国内生産量は過去最高の39万トン。調査開始の1992年の2倍以上だ。折笠主任研究員は「これまでの米政策は生産調整に注力していた。今後は中食・外食へのシフトなど需要の変化を捉えた生産販売の対応が急務。米業界を挙げて幅広い分野と連携し、消費の新たな切り口を探ることが大切」とみる。
 

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