1等米比率低下 消費者の理解促進が鍵

 東日本を中心に米の主要産地で1等米比率の低下が表面化してきた。今夏が高温だった影響で白未熟粒が多い傾向だ。米業界は食味への影響は限定的との見方を示す。販売停滞と価格低下を回避するため、消費側に理解を促すことが欠かせない。

 農水省がまとめた2019年産米の農産物検査結果(9月末現在、検査数量は前年産実績の38%)によると、水稲うるち玄米の1等比率は67・6%で、猛暑の影響が問題化した10年産同期の64・4%に次ぐ低さ。2等以下の格付け理由は白未熟粒などの「形質」が57・7%と最も多い。産地別の1等比率は新潟が33・1%で前年同期から46・6ポイント減。8月中旬のフェーン現象で、猛烈な暑さに見舞われたことが主な要因だ。宮城も59%など低い産地が目立つ。

 1~3等の格付けは玄米を精米する際の歩留まりの目安で、「食味の優劣を示すものではない」(同省)。だが、流通する精米商品には白く濁った米が例年以上に含まれ、消費者が過敏に反応しないかとの懸念がある。

 JA全農は、ホームページで「問題なく召し上がっていただけます」と消費者向けのメッセージを掲載した。日本精米工業会は白未熟粒が発生する仕組みも記した資料を作成。会員米卸が取引先に説明する際に活用している。産地との交流を重視する日本生協連は精米袋にシールを貼付し、「品質には問題がないので、安心して召し上がりください」と呼び掛ける。米売り場にPOP(店内広告)やシールで同様の表示をするスーパーも一部出てきた。

 19年産商戦が本格化する中で、販売が順調に進むかは大きな焦点だ。米の消費減退が加速し、需要量の年間減少ペースは19年産から10万トンに拡大している。現状、需給は辛うじて均衡している状況だ。主食用米の作付面積は137万9000ヘクタールで、目減りする需要に対し適切な抑制ができたとは言えない。米作況指数(10月15日現在)が99と下振れし、予想収穫量は727万トンと、国が需給安定に向けて示す適正生産量に近い水準となった。天候不順などで帳尻が合っただけだ。平年作の作柄なら適正生産量を上回り、需給緩和や価格下落に向かいかねなかった。現状、米価下落時の国のセーフティーネット(安全網)対策も十分ではない。油断は禁物だ。

 米業界は、白未熟粒の発生で、価格リーダーの新潟「コシヒカリ」などの販売が悪化すれば、「米全体の価格に影響しかねない」と警戒する。小売りなど実需を広く巻き込み、消費者の理解を得て、窮状にある産地を応援する輪を広げたい。

 温暖化は今後も進む。生産側は高温障害などを避けるために、品種の選定、適期栽培や肥培管理の徹底など対応すべき点も多い。需要に見合った適正生産と品質の安定をどう両立するか。政策転換2年目の大きな課題として残る。
 

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