沖縄産で原料米確保へ 名実共に“琉球泡盛” 長粒種を作付け交付金で収入増

泡盛原料用の長粒種を栽培する水田でJA職員(左)と生育を確認する金城さん(沖縄県伊平屋村で)

 内閣府やJAおきなわなどが進める、沖縄県産米での泡盛製造を目指す「琉球泡盛テロワールプロジェクト」が、本格的に動きだした。原料として定着していたタイ米を県産長粒種に置き換え、水田農業を支えつつ商品の付加価値を高める計画だ。交付金で所得を確保できるなど、生産側の利点は多い。JAや農家らは、早ければ来年6月にも完成する県産米原料の泡盛を心待ちにする。(松本大輔)
 

プロジェクト始動


 プロジェクトは今年、宮腰光寛前沖縄北方相の肝いりで、内閣府やJA、県、県酒造組合などが連携して始めた。地域に根差した原料調達を意味するフランス語「テロワール」を冠した。今年は伊平屋村10ヘクタールと石垣市2ヘクタールで長粒種を栽培。8、9月に田植えにこぎ着けた。

 農家にとって安定した所得が見込めるのがメリットだ。県の試算によると10アール当たりの農家収入は主食用米(一期作)の場合で8万4000円。泡盛原料用米は①販売収入2万6000円②産地交付金4万5000円③戦略作物助成2万円──と、主食用以上になる。

 酒造業者のコストはタイ米より高まるが、内閣府は「交付金で生産者の収入を支える分、業者の負担もある程度抑えられる」とみる。「付加価値を高めた分、完成した商品はプレミア価格で販売できる」とも説明する。

 農業関係者はプロジェクトを歓迎する。農家8戸が長粒種「YTH183」と「北陸193号」を栽培する伊平屋村。1ヘクタールを手掛ける金城信光さん(73)は「生育は順調。素晴らしい出来になるはずだ」と笑みをこぼす。

 村では①2、3月に田植えし7月に収穫する一期作②8月に田植えし11、12月に収穫する二期作──が可能。だが、台風の時期と重なる二期作は近年、作付けを見送っていた。JA伊平屋支店は「泡盛原料用の長粒種は交付金で所得を確保できるため、作付けを再開できた」と喜ぶ。来年以降、面積を広げる考えだ。

 村では11、12月ごろ、多ければ50トンほどの収穫を見込む。収穫後はJAが全量を買い取り、1月に県酒造組合に出荷する計画。早ければ6月に県産米で造った泡盛が完成する予定だ。
 

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