錦秋織りなす山、絹糸のごとき川

 錦秋織りなす山、絹糸のごとき川。四季の中でも秋はひときわ美しい。絢爛(けんらん)でいて憂愁。見飽きることがない▼風光明媚(めいび)なこの国の景観をつくったのは、火山と地震である。大地の鳴動で新たな地質が生まれ、降り注ぐ雨が植物を増やした。やがて豊かな土壌となり、あまたの命を育む。地震・火山列島に住む先祖は、脅威と恵みを共存させる知恵をつないできた▼その最大のものが、「築堤」技術だと考古学者の樋口清之さん。川と海への闘いを強いられた日本では、築堤技術が非常に発達したという(『梅干と日本刀』)。だが、最近の人智(じんち)を超えた自然の猛威の前では、次々と「堤」や「せき」が壊されている。大津波、山津波、川津波。山河の至る所で暴れる水をなだめるすべはあるのだろうか▼きょうは「世界津波の日」。165年前、和歌山を襲った大津波の時、1人の村人が稲むらに火を付けて避難を促し、村民を救った史実による。この日にちなみ、北海道で高校生サミットがあり、世界43カ国、400人の若者が、防災・減災の在り方を学び語り合った▼「防災を学びながら、自然の良さも伝えていきたい」「若い防災リーダーとして地域で発信していきたい」。そんな高校生たちの声が頼もしい。「稲むらの火」の教えを若者が継いでいく。
 

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