南米4カ国(メルコスール)とEPA 政府が検討 牛・鶏肉で懸念

 政府が、ブラジルなど南米4カ国でつくる南米南部共同市場(メルコスール)との経済連携協定(EPA)交渉を検討していることが4日、分かった。自動車などの輸出拡大が狙いとみられるが、4カ国は世界有数の牛肉、鶏肉などの生産・輸出国。環太平洋連携協定(TPP)をはじめ大型通商協定の締結、発効が相次ぐ中、メルコスールとのEPAで関税が撤廃・削減されれば、一層の輸入増が懸念される。

 メルコスールには、他にアルゼンチンとウルグアイ、パラグアイが加盟。欧州連合(EU)のように、域内では関税を原則撤廃し、域外には共通の関税を課す。

 関係者によると、安倍晋三首相は16、17日にチリで予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への出席に合わせブラジル訪問を調整。同国のボルソナロ大統領と会談し、EPA交渉の可能性について協議する方向で検討していたという。だが、チリが反政府デモの影響でAPEC開催を断念し、日程は不透明だ。

 日本はTPPや日欧EPAで、鶏肉の関税(8・5%か11・9%)を撤廃。牛肉の関税(38・5%)は9%まで削減する。メルコスールとEPA交渉を始めれば、こうした水準までの関税削減や輸入解禁を求められ、日本市場での競争力が高まりかねない。

 自民党農林幹部は「日米貿易協定に合意したばかり。大型協定の交渉がこんなに続いては、国内農家の理解を得られない」と警戒する。6月には、メルコスールとEUの自由貿易協定(FTA)が基本合意に達したが、安価な農産物の流入への懸念などから合意に20年かかった。

 4カ国のうち、ブラジルは日本の鶏肉の輸入量の7割を占める。牛肉の輸出量は186万トン(2017年)でオーストラリアや米国などを上回り世界一。ウルグアイは44万トン、パラグアイは38万トン、アルゼンチンは29万トンと有数の輸出国だ。ブラジルは世界最大の砂糖の輸出国でもある。

 ただ、日本は4カ国産の牛肉について、防疫上の理由から、ブラジルとアルゼンチンの一部地域を除き輸入を禁止。ウルグアイからの輸入は条件付きだ。19年の輸入量は9月まででウルグアイ、アルゼンチン両国からの計717トン。輸入量全体の0・2%にとどまる。

 メルコスールとのEPAは、日本経団連とブラジルの経済団体が共同で各国政府に締結を求める報告書を18年に作成。日本政府はEPAを契機に、成長市場だが日本との貿易量がまだ小さいブラジルを中心に、自動車などの輸出拡大を目指しているとみられる。
 

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